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  消毒と殺菌

消毒剤・殺菌剤は防疫に欠かすことのできないものです。外出後のヒトの消毒、病気感染鳥が発生した場合のケージの殺菌など、通常の熱湯消毒や日光消毒では不可能な殺菌処置が必要な場合もあります。まず消毒・殺菌といった用語を分類すると次のようになります。

滅菌 殺菌 消毒 抗菌 静菌 除菌
すべての微生物を殺すか除菌した状態にすること。完全な無菌状態にすること。殺菌とろ過がある。 微生物を死滅させること。 人畜に有害な微生物または目的の微生物のみ殺菌すること。滅菌のような無菌状態にはならない。 微生物の増殖を阻止すること。静菌と殺菌を含む。 微生物の増殖を薬剤があるときだけ阻止すること。 微生物を物理的に分別して取り除くこと。

ここでは病原性微生物を殺菌する「消毒剤」の種類についてまとめてみます。

消毒作用による分類

消毒作用 消毒剤の種類 薬剤名 効力
酸化作用を有するもの 塩素系消毒剤 次亜塩素酸ナトリウム、塩素、塩素化イソシアヌール酸 中度
ヨウ素系消毒剤 ヨードチンキ、ヨードホール(ポビドンヨード) 中度
過酸化物系消毒剤 過酸化水素、過マンガン酸カリウム、オゾン、強酸性水 高度
タンパク質の
吸着・凝固変性作用を
有するもの
アルデヒド系消毒剤 グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド(ホルマリン) 高度
フェノール系消毒剤 フェノール、クレゾール、トリクロサン 中度
ビグアナイド系消毒剤 グルコン酸クロルヘキシジン 低度
水銀系消毒剤 マーキュロクロム、塩化第二水銀、チメロサール 中度
アルコール系消毒剤 エタノール、イソプロパノール 中度
界面活性作用による
細胞膜変性作用を有
するもの
四級アンモニウム塩系消毒剤 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム 低度
両性界面活性剤系消毒剤 アルキルジアミノエチルグリシン (テゴー51) 低度

一般的な消毒剤の概略を示すと次のようになります

分類 有効成分 効果範囲 無効微生物 摘要
消毒用エタノール エチルアルコール 各種細菌 芽胞 臭気がある。即効性がある。
もっとも入手しやすい
まれにアレルギー反応が出る
逆性石鹸 4級アンモニウム化合物
塩化ベンザルコニウム
グラム陽性菌
クラミディア
脂質親和性ウイルス
グラム陰性菌
胞子状細菌
マイコバクテリア
親水性ウイルス
毒性が低く安全
有機物汚染状態では無効
事前の洗浄後使用で有効
塩素(ブリーチ)剤 次亜塩素酸ナトリウム ほとんどの細菌
各種ウイルス
胞子状細菌
マイコバクテリア
有機物汚染状態では無効
金属を腐食させるおそれがある
使用法を誤ると有毒ガス発生
フェノール系殺菌剤 オルトフェネートナトリウム
オルトクロロフェノール
ほとんどの細菌
カンジダ等の真菌、
脂質親和性ウイルス
親水性ウイルス 石炭酸の悪臭がする。
有機物汚染状態でも有効
クロールヘキシジン クロールヘキシジン グラム陰性菌
各種ウイルス
グラム陽性菌
マイコバクテリア
有機物汚染状態でも有効

さらに専門的な効力分類を示すと次のようになります。
◯;有効、△;効果が得られないことがある、×;無効
参考「殺菌・消毒マニュアル,」 (都築正和監修) 医歯薬出版, 東京, 1991

消毒剤名 製品名 一般細菌 耐性黄色ブ
ドウ球菌
感受性菌
耐性菌 結核菌 真菌 芽胞 エイズ
ウイルス
B型肝炎
ウイルス
強酸性水 -
グルタードアルデハイド ステリハイド
ホルマリン -
次亜塩素酸ナトリウム ミルトン ×
消毒用エタノール - × ×
ウエルパス ウエルパス × ×
イソプロパノール - × ×
ポピドンヨード イソジン ×
希ヨードチンキ - ×
フェノール - × × ×
クレゾール石鹸液 - × × ×
塩化ベンザルコニウム オスバン × × × × ×
塩化ベンザトニウム ハイアミン × × × × ×
クロールヘキシジン ヒビテン × × × × ×
両性界面活性剤 テゴー51 × × × ×

また、消毒対象物についての消毒剤の効力分類は次のとおりです。
◯;有効、△;効果が得られないことがある、×;無効

消毒剤名 製品名 環境 器具 手・皮膚 粘膜
強酸性水 -
グルタールアルデヒド ステリハイド × ×
次亜塩素酸ナトリウム ミルトン
消毒用エタノール - ×
ウエルパス - × × ×
イソプロパノール - ×
ポピドンヨード イソジン × ×
希ヨードチンキ - × × ×
クレゾール石鹸液   -
塩化ベンザルコニウム オスバン
塩化ベンザトニウム ハイアミン
クロールヘキシジン ヒビテン ×
両性界面活性剤 テゴー51

消毒薬は病院で処方してくれる塩素系「ビルコンS」が効果的です。58種のウイルス、350種類の細菌、45種類の真菌、6種類の芽胞菌に対して効力が確認されていると言われています。ビルコンSについては、英国アンテック社の日本向けHPがありますのでhttp://www.antecint.co.uk/305/productj.htmを参照してください。この他、動物用医薬品メーカー「三生製薬」の消毒剤「パコマ」もよく用いられています。
コクシジウムのオーシストを殺滅できるのはペットショップの猫コーナーや薬局で販売されているオルソ剤(下記参照)です。次亜塩素酸ナトリウム含有の「ブリーチ剤」はほとんどの細菌・ウイルスに効果的ですが、ケージの金属を腐食し、また使用方法を誤ると危険な塩素ガスを発生させる可能性がありますので、安易に使わない方が無難でしょう。一般的には下記の「ウエルパス」のような逆性石鹸含有エチルアルコール(エタノール)が手軽で安全でしょう。
いずれにしても殺菌剤使用後は、熱湯洗浄で薬剤を完全に洗い流し、日光消毒乾燥をすることが必要です。逆性石鹸は危険性が低く無臭であるのにもかかわらず、抗菌スペクトルが広く、強力な殺菌力を持っています。病院で医師が診察前後に手を洗浄する洗面器に入っているのは、たいてい逆性石鹸です。「ウエルパス」も逆性石鹸も薬局で入手できます。なお栄養剤でおなじみのネクトン社でも「デシプラス」という消毒剤を市販しています。

使いやすい新しい消毒剤
 従来の抗菌剤の主流は、主成分が銀・銅・亜鉛などの重金属による″銀系抗菌剤″でしがた、重金属をまったく含まず、大豆・米・麦などの穀類エキスを主成分とした非常に安全性の高い抗菌消臭剤が生まれました。
 ベンザルコニウムなど陽イオン界面活性剤は、抗菌力は高い反面、毒性も高い物質であるとされていましたが、これに穀物抽出エキスを有効に使用することにより、毒性を減少させることに成功しました。これが「セントリスE-1」(ニッセキ株式会社・名古屋市)です。
 安全と言うところがもっとも安心できる点で、以下のような試験結果があります。

●急性経口毒性試験「LD50値」は、6000mg/kg以上
 これは安全性の目安としてOECD基準に基づき行なわれる試験で、マウスなどに2週間にわたり当該薬剤を投与して半数が致死した量を体重1kg当たりで算出した数値です。数値が大きいほど安全性が高いといえます。
 参考数値 食塩…4500mg/kg以上
        コーヒーのカフェイン…1950mg/kg以上
 ※2000mg/kgは安全基準に適合とされています。
●皮膚一時刺激試験「陰性」
 これもOECD基準に基づく試験で、「セントリスE-1」を添加した紙タオルをウサギの皮膚に24時間貼り付けにした結果、皮膚の刺激性は全く認められませんでした。
●皮膚感作性試験…皮膚感作性を有さない。
 Maximization法によりモルモットを用いて皮膚感作性試験を行った。
●変異原性試験(5菌株)陰性
 突然変異誘起性を調べる目的で労働省告示代77号に準じた試験を実施した。
●食品衛生法の規格基準第5条の洗浄剤試験に適合
 現在、国公立や私立病院などでは、「セントリスE-1」を希釈したものを野菜・果実の洗浄に使用しています。

また抗菌力も強く、耐性黄色ブドウ球菌にも有効。カビにも効果があり、ウイルスも不活性化。消臭力も強く、無色透明無味無臭。揮発性が無く持続性が高いといった、動物関係の消毒に最適な消毒剤です。

各社から応用製品が発売されていますが、
(株)マルトミレンタの「G2TAM」シリーズは使いやすいと思います。

http://marutomirenta.co.jp/sentorisu.html

スプレータイプなど様々な商品があり、このサイトから購入も可能です。
左:1000mlハンドスプレー
右:手指用洗浄液フォームポンプボトル 500ml 

その他の消毒剤など
速乾性すりこみ式手指消毒剤「ウエルパス」(丸石製薬)
単なるエタノールではなく、塩化ベンザルコニウムを100ml中に0.2g含有しています。
ベンザルコニウムは逆性石鹸の一種で毒性が低いわりにl抗菌スペクトルの広い殺菌剤
です。特にグラム陽性菌に対しては強い殺菌力を示します。
ショップで鳥に触った場合は、自宅での通常の手洗いに加え、こうした殺菌剤を併用する
ことをお勧めします。
同じく速乾性すりこみ手指消毒剤「ヒビスコールS」(サラヤ)
ウエルパスと同じような用途の消毒剤で「ヤシノミ洗剤」でおなじみのサラヤの製品です。
エタノールにグルコン酸クロルヘキシジン0.2w/v%を含有しています。
アルコールの即効性とクロルヘキシジンの持続性殺菌が相乗効果を発揮します。また、
2種類のエモリエント剤の配合で手荒れのおそれがほとんどないと言われます。
1リットル定価3300円と安いのも魅力です(写真は携帯用50mlタイプ)。
次亜塩素酸ナトリウム
ピューラックス
他にミルトンなど
塩化ベンザルコニウム10%
オスバンS
50倍に希釈し、0.2%溶液
にして器物に噴霧し清拭
ネクトン社の消毒剤
デシプラス
CAP!で販売中
National製除菌スプレー
水と塩で次亜塩素酸
ナトリウム(50ppm)
を10分以内で製造する
98年5月に発売された
花王のハンドソープと
アルコールジェルのセット。
ハンドソープには、
逆性石鹸が配合されて
います。

塩化ベンザルコニウム(逆性石鹸)オスバンS含有のハンドソープも市販されています。薬用石鹸と言われているものよりも、確実で、一番コストパフォーマンスが高いものでしょう。花王からも売り出されました。

消毒用アルコール

アルコールにはメチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、ブチルアルコールなどさまざまな種類がありますが、消毒用に用いられるのは経口摂取しても無害なエチルアルコールです。ただし、「無水アルコール」と言われる100%に近い高純度のアルコールは消毒効果が低いのです。蒸留水を加え、80%に希釈されたものが最高の殺菌力を発揮します。濃度が低いほうが効果があるというのは面白い事実です。「消毒用エタノール」として薬局で販売されているものは、すでに80%になっています。
アルコールの殺菌力は強力で、芽胞(破傷風菌など)や一部のウイルスを除いて、ほとんどの細菌に対して効力があります。

ペパーミントオイルの効用

昭和薬科大学とロッテ中央研究所の研究によるとペパーミントオイル(精油)に強力な殺菌力があることが判明しました。1998年5月26日の「日本防菌防黴学会」で発表されたもので、他に類を見ないほど強力な殺菌力をもっているということです。
0.04%以上で効力を発揮するとのことで、ペパーミントオイルがアルコールに溶けやすいため、消毒用エタノール250mlにオイル0.1mlを混入させるだけで強力な殺菌剤になるそうです。
濃度が高くても問題があるわけではないので、多少濃度が高い(香りが強め)のものを作って室内に散布すると、殺菌と芳香効果が両方得られるのではないかと思われます。器物の消毒には、あまり匂いが残っても困るので、0.04%のものが良いでしょう。ペパーミントオイルを購入する時はメーカーの確かな、アロマテラピー用の高品質のものを求めてください。
ケージの敷き紙を交換した際には底をこれで消毒しましょう。また敷き紙の交換前にも敷き紙に噴霧しますと、殺菌と同時に湿度を与え、フンの乾燥飛沫を吸引してしまう危険が予防できます。

オルソ剤について

オルソ剤はオルト剤とも呼ばれ、コクシジウムのオーシストを殺滅出来る唯一のものです。これはいわゆる「ウジ殺し」で、便所が汲み取り式の時代に、よく便槽に投入していた非常に臭い乳剤です。最近では汲み取り式の便所が減ったせいで、あまり見かけなくなりましたが、以下の製品が市販されています。

単味乳剤:

1.オルトジクリルベンゼン
芳香グリンキラー ネオミケゾール ミケゾール モスゾール オールパラ タバクキラーグリーン ネオグリーン グリーンキラーエース乳剤 ローズグリーン  

混合乳剤:

1.オルトジクロルベンゼン+クレゾール
エスゾール ピークゾール はなみちうじ殺し 金鳥オルソ乳剤 タカピシゾール ネオデシゾール オメソゾール パンゾール ピカゾール ゾル ネオピカゾール ゾールトイレス 月鹿ピレゾール ネオアイゾール ハイゾール ピカゾールS フマゾール マイゾール マルカオルソM リゾ マルカオルソ乳剤
2.オルトジクロルベンゼン+有機リン剤
クレハオルホス乳剤 ミケゾール オルソVP乳剤 強力グリーン・キラー乳剤 三共強力オルソ乳剤 クリーンウインド ダイキョウゾル ケゾール ネオグリーンキラー乳剤 ルカオルソ乳剤
3.オルトジクロルベンゼン+クレゾール+有機リン剤
うじ滅ヤクレット うじ殺しバルサンS  コンソール 

これらの薬品は猫やウサギをを扱うペットショップにもありますが、薬局で購入するのが手軽でしょう。非常に強力な効果と悪臭を持っていますので、常用すべき物ではなく、コクシジウムに寄生されたと判明した段階で、獣医師の意見を参考にしながら用います。薬剤の使用法は使用上の注意を熟読することはもちろんですが、熱湯で洗い流し、さらに逆性石鹸液で洗浄すると良いでしょう。なお、中毒事故防止の観点から、有機リン系の薬剤は避け、クレゾールとの混合乳剤の使用が適当だと思います。

強酸性水の強力な殺菌力

上記の表の中で「強酸性水」の効力は目を引きます。これは水に食塩などを加え、特殊な膜を仲介して電気分解して得られるものです。一般家庭用の「イオン整水器」では得られない強力な酸性水です。しかし最新の家庭用機器では強酸性水も作れるものがあります。松下電工「ミズトピアTK780-H」は食塩を添加した本格的強酸性水(PH2.5、電位1100mV)を製造することが可能です。

分類 生成方法 名称 pH 酸化還元電位
電解水 水道水を浄水フィルタ(活性炭、中空糸膜など)に
通し、特殊な隔膜を介し電気分解した場合に
陽極・陰極側に生成される水
アルカリイオン水 8.0-10.5 -300mV前後
酸性イオン水 4.0-6.5 600mV前後
強電解水 水道水にNaCl・KClなどの電解質を加え、特殊な
隔膜を介し電気分解した場合に陽極・陰極側に
生成される水
強酸性水 2.7以下 1000mV以上
強電解アルカリイオン水 11.0以上 -800mV以下

強酸性水は、他に超酸化水、電解酸化水、強酸性イオン水、アクア酸化水などとも呼ばれています。
水素イオン濃度(pH) 2.7以下、酸化還元電位(ORP) 1100mV、残留塩素濃度(次亜塩素酸など) 20ppm以上の水で、これは微生物の生育環境を超えているために、強い殺菌力をもちます。
 強電解水は空気に接すると、含まれる塩素化合物が塩素ガスとして空気中に放出されてしまうため、「ただの水」に戻るので、悪臭や環境への汚染はほとんどなく、また皮膚・粘膜(眼・口腔・胃など)に対する毒性も多くの実験では軽微であると言われています。

株式会社アルテックの
ポータブル強酸性水生成器
「スーパーオキシードミニ」

ただの塩水を原料に、
10〜15分でph2.7の強酸性水
を700ml製造できます。
強酸性水は鮮度が命です。

CAP!もこれを使用しています。

 殺菌効果についての多くの報告では、大部分の一般細菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、淋菌、インフルエンザ菌、サルモネラ菌、チフス菌、ボツリヌス菌など)は30秒以内で死滅。また結核菌は1〜2分間で効果がありました。ウィルス(ヘルペス、インフルエンザ、エンテロウィルスなど)やカンジダを含む大部分の真菌に対しては30秒以内で効果がありましたが、カビ・糸状菌では数分を要するものもあります。ウィルスでも一部のウィルス(サイトメガロ・エイズ・ポリオ)は3分前後で不活性化されます。
 強酸性水は一般の消毒薬とは違って物質に浸透せず、また空気と接すると直ちに次亜塩素酸は塩素ガスとして揮発し、その効力を失いますから塗布するのではなく流して使用するなど一定時間接触させることが必要です。
病院や飲食店では強酸性水製造装置を設置しているため、常時新鮮な水が入手できますが、一般家庭では製品としての強酸性水を購入しなければなりません。メーカーではその日に製造された酸性水を翌日納品してくれますが、時間が経つと酸性水の効果がなくなりますので、開栓後は密封容器で冷蔵庫保存、2週間以内に使い切って下さい。また、細菌などに作用したあとは、ただの水になってしまいます。製品としての強酸性水は0.5リットルで500円程度です。業者の一つ(株)オムコ東日本のHPはこちらです。
http://www.elen-water.com/
なお、製造装置は大小メーカーから各種発売されており、上記のような家庭用の小型のものもあります(12万円程度)。

オゾンによる室内全体殺菌およびオゾン水殺菌

ケージレベルの消毒でなく、鳥のいる部屋全体を殺菌してしまうのが、空気中にオゾンを放出する殺菌法です。さらに、オゾンを水に曝気(ブクブク)することで得られる「オゾン水」は、強酸性水同様の殺菌効力が得られるので、一石二鳥です。多くの病院・動物病院、ペットショップや畜産養鶏施設で使用され、大きな効果を上げています。オゾンの効果は、
○病原菌、特にウィルスの不活化に優れた効果がある。30秒程度で細菌・真菌・ウイルスを殺滅する
○原料の貯蔵や運搬が不要である
○発生量・濃度の抑制が容易で、取扱上安全である
○装置の耐用年数が長く、維持管理が容易である
分解して酸素にかわるため二次公害のおそれがなく、生成物の毒性が低い
などが挙げられます。非常に効果的な殺菌法と言えるでしょう。発生器も6畳タイプで4万円程度です。オゾン発生器は大小メーカーから各種発売されています。

オゾンとは?
オゾンは酸素がO2であるところO3と、三原子の酸素分子により構成されています。通常は無色ですが、高濃度ではやや青みのある気体で、特有の生臭い臭気(コピー臭)を持っています。オゾンは古くギリシャ時代から知られており、オゾンの語源も“臭う”という事をギリシャ語で“OZO”と言い、これに基づいて“OZONE”となりました。この臭気は一般的に0.005 PPMで感じられます。 オゾンは、太陽の紫外線照射を受け大気中の酸素から自然に生成されます。また雷の放電でも発生するため、稲妻は自然の殺菌法とも呼ばれています。
成層圏には濃度の高いオゾン層があって、オゾンは太陽から地表に降り注ぐ紫外線を吸収しカットするフィルターとして重要な役割を果たしていますが、フロンガスなどによって破壊され、南極、北極上にはオゾン濃度の希薄なホールが出来、更に拡大の様相を呈しており、今やオゾン層の破壊が地球的に問題化されています。しかし、常温の大気中でのオゾンは次第に分解して酸素となり、いつまでもオゾンとして残存しません。水中に溶存する場合も同様です。こうしてオゾンは自然分解の過程で脱臭・脱色・酸化・殺菌などの働きをします。
オゾン発生装置
オゾンを発生させる方法は、現在では無声放電法、紫外線法、化学生成法、電解法などがありますが、工業的に大量のオゾンを得る経済的な方法として、無声放電法が主流で広く普及しています。無声放電とは、空気中または誘電体を挟んだ2つの電極間に、交流の高電圧を通電すると生じる放電現象の事です。この無声放電中に空気または酸素を通過させ放電プラズマ中のイオンの持つエネルギーによって酸素をオゾン化するものです。他の方式に比較して格段に良く、その経済性と共に、現在の主流となっています。発生したオゾンをそのまま空気中に放出し、室内全体を殺菌する方法と、曝気してオゾン水にする方法があります。
オゾンの用途
(1)
脱臭・環境改善 オゾンによる脱臭は、悪臭成分の酸化分解に基づくものであって、オゾンとの中和作用によって脱臭します。身近な例では、室内における煙草の煙などのガス体に反応して、その臭気を分解する他、ほとんどの悪臭に有効です。また、使い方を誤れば、逆に食品などの好ましい匂いも分解してしまうこともあります。

オゾン水と各種殺菌剤との効力比較
99%不活性 CT値
殺菌剤 腸内細菌 ウイルス 芽胞菌 アメーバシスト
オゾン水 0.01 10
次亜塩素酸 0.2 100 100
次亜塩酸イオン 20 200 1000 1000
モノクロラミン 50 1000 5000 200

2)殺菌・滅菌・殺虫 オゾンによる殺菌作用は、溶菌といわれ、塩素が細菌の細胞壁を通して拡散し、酵素を侵し結果として死滅させる作用とは基本的に異なり、細菌の細胞壁の破裂、又は分解によるものです。これは特に、水中でのオゾンによる細菌の殺菌について実験報告が多く発表されています。例えば、大腸菌はオゾン濃度が0.02〜0.04mg/L で死滅するといわれていますが、これは塩素が 0.1〜0.2mg/L で、死滅するのと比較して、オゾンは低濃度でも有効である事を示しています。また、O−157大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌などについても同様の結果が得られます。オゾンによる殺菌法は、早くから欧米では食品貯蔵や冷暖房空気の浄化に採用され、日本では、加工食品の製造工程を始めとして、その用途が増加しています。オゾンは接触殺菌のため細菌に直接反応することによって効果があります。
オゾンの毒性
オゾンは強い酸化力を持ち、反応性が高いため、濃度によっては人体に悪影響を与えます。また、水分に吸収されにくく、呼吸器系に取り込まれた場合に肺の深部まで到達するため、呼吸器傷害(肺水腫等)をひきおこすことが報告されております。
労働環境衛生値では、許容濃度は0.1ppmです。鳥などの小動物が2時間以内に死亡する濃度は15〜20ppmです。しかし通常販売されている発生器で0.1ppmを超える発生力のある機器はありませんので、心配する必要はないでしょう。