飼鳥情報センター 

  鳥を連れての帰国の手続き  付:アメリカへの出国手続きと検疫

海外赴任などでアメリカに在住中に可愛い「家族」を迎えました。数年して帰国の命令が!
さてこの「家族」を置いては行けません。何とか日本に連れて帰りたいものです。大事な家族なのですから。


新たな動きがありました◆
 2005年9月1日、動物の輸入届出制度が施行されました。これは「ウエストナイル熱」「鳥インフルエンザ」などの感染症が国内に持ち込まれないための法令による措置です。
 これにより、海外から国内に鳥を持ち込む場合、輸出国政府発行の「衛生証明書」が必要になります。
 衛生証明書に必要な証明事項は

  1. 輸出の際に、ウエストナイル熱及び高病原性鳥インフルエンザの臨床症状を示していないこと。
  2. 出生以来飼養されていたものにあっては、日本国が加盟している国際機関(OIE、WHOなど)が高病原性鳥インフルエンザの発生していないとする地域のうち、厚生労働大臣が指定する地域(「指定地域」という。)で、保管施設(蚊の侵入を防止するための措置が講じられているものに限る。)において、過去21日間又は出生以来保管されていたこと。
  3. 出生以来飼養されていたもの以外のものにあっては、指定地域で、検疫施設(蚊の侵入を防止するための措置が講じられているものに限る。)において、過去21日間又は出生以来係留されていたこと。

 詳しくは厚生労働省サイト「動物の輸入届出制度」ページをご覧下さい。「衛生証明書」の発行可否については居住国の衛生機関に問い合わせされるようにお勧めいたします。

 以下の記述は、原則として「衛生証明書が発行された場合」のみについて適用されるものとご承知置きください。

※この項の記載事項については経産省(取材時:経産省)・税関の確認を受けております。(1999/3/23)
ただし実際の利用に関しては、規則変更なども考えられますので、必ず各自で直接問い合わせてください。
※アメリカのペット鳥輸出入については「まりのアメリカ情報」もご参照下さい。

◎帰国前にできる限りの受診を◎

日本はアメリカと異なってウイルス性の病気の検査・ワクチン接種などはもとより、DNA雌雄判別検査などもなかなか受診できません。アメリカ滞在中に健康診断を受けると共に、こうした検査(PBFD・PCDその他)をできるだけ受けておくことをまずオススメします。

※2005年9月から、日本国内への鳥類(家禽を除く)には、「衛生証明書」を要する届け出制度が実施されます。ご注意下さい。詳細は、厚生労働省のサイトで。

さて、いよいよサイテス種の輸入手続きです。

サイテスU類種の国内持ち込みの実際

セキセイ・オカメ・コザクラ(2005以降)以外のオウム目の鳥はほとんどワシントン条約(サイテス)付属書U類の種です。T類の鳥の取引は事実上ほとんどできませんから、ボタン・ビセイインコ・クサインコ・モモイロ・アオボウシ・キエリボウシ・ヨウム・コバタン・キバタン・メキシコ・ミドリインコなど、ほとんどすべてのインコはみなU類ということになります。

ワシントン条約による鳥の国内持ち込み(個人レベル)審査には次の2通りの方法があります。

1.経産省の正式な手続きを経た「輸出入」審査
2.ワ条約に定められた「特例」を利用した税関のみの審査


 圧倒的に簡単なのは2の「特例」ですが、以後の海外持ち出し等が難しくなるなどの問題も生じますので、できるだけ1の方法を採ることをオススメします。多少面倒ですが、考えるほど難しくはありません。なお、手続は相手国により様々なのですが、ここでは代表的な例としてアメリカ合衆国から持ち込む場合を例とします。

1.経産省の正式な手続きを経た「輸出入」審査の方法

@アメリカでの輸出許可書取得
アメリカの場合「US.FISH AND WILDLIFE SERVICE」という公的機関(各地に出張所があります)に相談して輸出許可書の発行を申請します。この場合に必要な書類は、
  ・ショップで買ったことの証明(ショップ領収書など)
  ・できればブリーダーの人工繁殖出生証明書
  ・安全な輸送手段をとることの証明書(航空会社の説明書等)
  ・輸送に耐えうるかどうかの獣医による健康証明書
などです。個体が第三国から輸入された鳥の場合は、別の証明書が必要になるかも知れません。ともかくショップの領収書は重要です。審査されて通常2〜3週間で「輸出許可書」が交付されるでしょう。「輸出許可書」の例は下記図1のとおりです。申請その他に使いますから5枚以上コピーしておくと良いでしょう。なお、安全な輸送手段まで問題になるのは、ワシントン条約では輸出入だけでなく、その輸送方法に対してもきびしく規制しているからです。

A日本国経産省への「事前確認申請」
条約上はU類種は「輸出許可書」が出ればいいのですが、日本の場合、事前確認の国内手続が必要になります。
 国内の手続は経産省か地方の経産局へ出頭して行うことになります。必ず電話でアポを取りましょう。提出は代理人で構いませんが本人自筆の「委任状」が必要です。また書類記入は本人でなければならないので、国際郵便を利用して書類のやりとりをしてください。この申請に必要な書類は次のとおりです。
  ・上記@で取得したアメリカの「輸出許可書」の写し2通
  ・「確認申請書」(図2、3)2通
  ・「貨物輸入に係る契約書」(個人の場合は「申請理由書(図4)」)1通
確認申請書記入欄は裏表ありますが表のみ記入します。裏面は税関が記入します。提出後、通常1週間程度で「事前確認書」が交付されます。

B輸送手段の確保
アメリカではエキゾチックアニマルを貨物としても旅客機には乗せられないことがありますので、その場合は航空貨物便で輸送することになります。経験豊富で有名なデルタ航空などに問い合わせて最善の方法を選択してあげましょう。
※情報によると鳥の旅客機持ち込みを認めている航空会社は多いそうです(ユナイテッドなどでは数に限りがあるものの、鳥の持ち込み可だそうです。早い者勝ちとか)。どのような環境で輸送されるのか、何羽持ち込めるのか他について各自ご確認ください。
 輸送に必要なケージなどについてはアメリカのショップや航空会社とよく相談してください。獣医師の健康診断書が必要になる場合もあります。
 1999.11.8追記:日本航空に問い合わせてみましたところ下記の回答をいただきました。持ち込み数量には制限があるようで、やはり早い者勝ちのようです。

「 国際線では機内にペット(小鳥・犬・猫のみ)を持ち込むことができます
1.機内に持ち込めるペット用かごの制限値
  機内持ち込み用かご(CRATE)の大きさは、三辺の合計が115cms以内。サイズはペットの大きさに適したものであること。動物が普通に立ったり、横たわったり、方向を変えたりできる大きさ。金属製か木製、またはグラスファイバー、硬質プラスチック等の水漏れしないものまたは PET SHOP 等で IATA 規定に則した CRATE(LIVE ANIMALSラベルが貼付してあるもの)
2.ペット持ち込みに対する料金
  ペット料金につきましては、各路線毎、重量毎、クレート個数により異なりますので国際線予約フリーダイアルにお問い合わせ願います。
3.その他必要事項及び注意事項
  ペットをお持ち込みになる時は必ず事前にご予約下さい。 その際 CRATE の大きさ(3辺の長さ)とペットを含む総重量をお調べの上お電話くださるようお願いいたします。
  JAL国際線フリーダイヤル(国際線予約・案内) 」

C入国受取り
いよいよ鳥の受け取りです。機内に持ち込めた場合は面倒な手続きなく通常のように入国手続き時に税関に向かうことになります。貨物便で送られてきた場合は連絡があり次第空港に出向いて税関で通関手続きに立ち会ってください。感激の再会になるでしょう。どちらにしましてもこのとき必要なのは
  ・アメリカの「輸出許可書」原本(コピーは不可)
  ・経産省の「事前確認書」
です。これらはもう既に上記で作成入手済みのはずです。何の問題もなく税関を通過すると思います。商業輸入ではないので関税を支払う必要はありませんし「インボイス」と呼ばれる輸入手続き書類も必要ありません。経産省の「確認書」裏面に税関が押印してくれますので大切に保管してください。アメリカの「輸出許可書」はここで税関に提出してしまいます。念のため写しを事前にとって別に保管しておきましょう。

D動物検疫
従来、家禽(鶏、あひる、七面鳥、うずら、がちょう)以外の小鳥(オウム、インコ、九官鳥、ハト、文鳥、カナリヤなど)を外国から連れてくる場合は、到着時の検査で異常がなければ検疫が終了しました。航空貨物でこれらの小鳥を輸入しようとする方は、到着空港の動物検疫所に輸入検査申請書を提出してください、というものでした。しかし2005年9月から、日本国内への鳥類(家禽を除く)には、「衛生証明書」を要する届け出制度が実施されます。ご注意下さい。詳細は、厚生労働省のサイトで。

E確認書返送
確認書原本(裏面に税関の印のあるもの)を輸入実行後1か月以内に経産省の担当部課に郵送します。これも写しを保管しておくと良いでしょう。

 以上のことです。案外と簡単に入国させられますので、できるだけ正規の法手続を踏んだ形で入国させてあげましょう。商業輸入の場合は関税が掛かりますので「輸入申告」が必要になりますが個人の場合は関係ありません。

問い合わせ先:
経済産業省貿易局輸入課野生動植物管理班
経済通商産業省貿易局農水産室動植物貿易審査班(生きている物)

図1「輸出許可書」 図4「申請理由書」 摘 要
事前確認のための
申請理由書の文面

私こと(氏名)は、平成○年
○月○日から(  のため)
(輸出国)に在住しておりま
すが、(  のため)この度、
平成○年○月○日に帰国
することになりました。
ついては、共に暮らしてきた
ペットの(種の名前)(数)を
一緒に連れて来たいと考え、
本申請に及ぶものです。
なお、(輸出国)における輸出
許可書は添付のとおりです。
図2「確認申請書(表面)」 図3「確認申請書(裏面) 裏面は税関が記入
   表面記入の注意

(1)サイズはA4版。自分での
  ワープロ作成で可。
(2)発行国・許可書番号及び
  原産国名は、
  「輸出許可書」参照。
(3)学名は「輸出許可証」に
  記載のものを転記。
(4)和名は辞典等で調べる。
(5)「ソース」欄の記入は
 注記のとおり。 
「確認申請書(表面)」下段記載文

上記の輸出許可書等について確認する。
なお、本確認書により輸入申告をする
際には、別添の輸出許可書等の原本を
税関に提出すること。また、本確認書は
税関に提示し確認を受けた後、輸入
通関後1ケ月以内に裏面の「輸入状況
報告」欄に記入のうえ、確認担当課
あてに返送すること。
  「確認申請書(裏面)」下段注意書き

(1)本申請書の大きさはA列4番縦長と
  すること。
(2)「発行国」及び「許可書番号」欄には、
  当該貨物について発行された輸出許
  可書、再輸出証明書又は加工証明書
  の発行国及び番号を記載すること。
(3)「原産国」欄には、輸出許可書、再輸
  出証明又は加工証明書中にある原産
  国を記載すること。
(4)「ソース」欄には、
   W=野生から取得したもの、
   C=飼育により繁殖されたもの、
    P=条約適用前に取得されたものの
  区分を記載すること。
(5)※印のある欄には記入しないこと。
裏面は輸入実行時に
日本の税関が記入します。
上段は受付税関押印欄、
中段は到着日、輸出数と
死亡数、輸入時の動物の
状況と死亡動物の死因に
ついて記入します。

2.ワ条約に定められた「特例」を利用した税関のみの審査

 これは実に簡単なのですが国により様々な運用がなされると思います。また税関担当者の個人的判断による部分も多いのでなかなか一般論は言えませんが、代表的な方法を説明します。なお前述のように、一度この「特例」を利用すると、もう二度と国境を越えての移動はできないとお考えください。
 ワ条約では特例として「海外居住者の国内への家財の移動」には規制を設けないとしています。鳥などのペットもこの場合「家財」に含まれることになります。ただしこの特例を悪用する人間も当然いるので、一応の基準を設けています。必要となる書類は次のとおりです。

 ・1年以上(この例では)アメリカに在住していることの証明書
  (納税証明書など)
 ・アメリカで購入した当該ペットを1年以上飼養していることの証明書 
  (1年以上前の日付のショップの領収書、獣医の領収書や診断書など)

これだけの書類でOKです。税関窓口で書類を提出し、「ワ条約特例による持ち込みです」と申告してください。
 あとは税関担当官の判断となりますので、どこでどう入手したかなどについてスムーズに答えられるようにしてください。当然担当官は密輸を警戒しています。また短期滞在で各国を移動し、(この例では)アメリカに1年間継続して在住していない場合は対象になりません。通算1年ではないので注意してください。短期移動はむしろ密輸を警戒されてしまいます。何らかの理由で「特例」が認められない場合は上記1の経産省の正式な手続きを最初からやり直すことになります。また、ここでもショップの領収書の存在が重要になってきますので必ず保管しておくことが大切です。
 以上のことなので楽と言えば楽です。動物検疫については1の輸入とまったく同じです。問題がなければただちに入国できます。

問い合わせ先:
●各地税関の税関相談官
東京税関03−3472−7001、成田支署0476−34−2128、横浜税関045−212−6000
神戸税関078−333−3100、関空支署0724−55−1600、名古屋税関052−654−4100
門司税関093−332−8372、函館税関0138−40−4261、沖縄地区税関098−863−0099

国外への持ち出しについて

 個人レベルの場合、これは国内への持ち込みと比べて非常に困難です。環境庁の確認を得た専門業者が繁殖した個体について環境庁が「繁殖個体証明書」を発行しなければ輸出許可は下りません。個人の巣引きによる繁殖個体では非常に難しいでしょう(でも、あきらめずに環境庁に相談してみて下さい。任意の繁殖証明書と繁殖場所の写真を提出すれば認められる場合もあるそうです)。環境庁の証明書を得るために一番基本となる書類は国内生まれの鳥ならばブリーダーの「人工繁殖証明書」、海外生まれの鳥ならば「輸出許可証(上記のサイテス書類の写し)」ですが、現実にはなかなか入手できません。知人の家で繁殖した子を里親として引き取った場合はともかく、一般に購入した子は普通こういう書類は添付されていません。輸入個体の場合も一部の直輸入ショップ以外では入手不可能です(ショップ自体が輸入業者から書類を渡されていません)。
 環境庁の証明書があった場合は、経産省に「輸出承認申請」と「輸出許可申請」をすることになりますが、その場合は理由書や安全輸送手段証明等も必要になります。ともに非常にやっかいです。
  さらに相手国にもよりますが、アメリカの場合は書類が整っていても一切の鳥の輸入を拒絶する傾向があるそうです。アメリカ大使館、その他に問い合わせてください。セキセイ・オカメ以外の鳥は「国外への持ち出しは、まずできない」と考えた方がいいでしょう。上記の正規の手続きで国内に持ち込んだのにも関わらず、逆はダメということです。防疫上の問題、密貿易根絶政策の問題、環境保護団体の問題などが複雑に絡まっているようです。
 アメリカ合衆国税関のHPには、鳥の持ち込みについても記載されていますので参考になさって下さい。
http://www.customs.ustreas.gov/travel/travel.htm
 唯一の希望は上記2の「特例」を利用する方法ですので税関に相談してください。ただし相手国の輸入税関が「特例」を認めてくれるかどうかはその国の事情によるようで、アメリカの場合は困難が大きいようです。
 無事輸出できても、諸外国には1ヶ月にもわたる動物検疫があることを覚悟してください(下記参照)。

海外臨床検査機関への検体輸出

 海外では血液や羽毛からDNA鑑定、各種病気の感染検査などを実施してくれます。すぐに送りたくなりますが、ワシントン条約は生体のみらず、こうした「一部」でさえ取引に規制を加えています。鰐皮のハンドバッグや象牙の印鑑と同じ扱いなわけです。ですからセキセイ・オカメ以外の鳥種の検体を海外へ送るには、生体を国外へ出すのと同じような手続きが必要になるので注意して下さい。

アメリカからの帰国の実際

カリフォルニアからオカメインコと帰国された、まりさんの経験談です。

「え〜、ありがたいことにオカメインコは、サイテスの対象外ですので(インコではオカメとセキセイだけが対象外です)、複雑な書類手続きは全く必要ありません、良かったですね〜(^^)また日本は、鶏など家禽以外の鳥に対する検疫は行っていませんので、到着したら、そのままおうちへ連れて帰れます。
(西ナイルウイルス発症地からの輸入には検疫が課せられています)

必要なことは、まず鳥さんと一緒に搭乗できる航空会社を探すことです。小さな鳥さんは、貨物室の過酷な環境では命も危険だということです。航空会社によっては、客室に動物を連れて搭乗することを許可していないところもありますので、各社に電話してお尋ね下さい。私はJ○Lでしたので、その時の実体験をもとにお話しますが(1996年10月当時)、航空会社によって条件・料金はまちまちではないかと思います。

まず、動物の持ち込みは一機あたり1人(1羽)まで、という制限がありましたので、搭乗したい便に先約者がいたら、別の便に変更しないといけませんでした。オカメインコと一緒に搭乗する予約が取れましたら、次に、オカメちゃんを運ぶケージの寸法(縦・横・高さ)を報告します。座席の下に収納できる大きさのケージ、と指定されたので、HOEIのケージを用意しました。厳密に言うと座席の下には入らないけど、足元に置いておけるサイズで大丈夫でした。通常の航空券の料金プラス、オカメ分の料金も取られました。けっこうな値段でした(^^;)

実は私の場合、オカメが3羽もいて、どうしても一度に連れて帰らないといけない事情があったので、かなり強引に交渉して「ケージは2つまで。一人でなく、二人で1つずつ運ぶこと。ただし二人の座席は離れたところに別々に取る。」という条件のもと許可を得ました。オカメを運ぶためだけに、親友が自腹を切って、同じ便で旅をしてくれました。一番神経質な仔を、私が運ぶケージに入れ、割とストレスに強いあとの2羽の仔は、親友が運ぶケージに入れました。

ケージの寸法に合わせて、ケージをすっぽり覆ってしまう巾着袋のようなものを手作りしまして、これに入れて運びました。巾着のヒモを持って運べるので便利でしたし、目隠しにもなるのでオカメたちも大人しく旅をしてくれて、とても助かりました。私は薄い布で作ってしまいましたが、機内は大変冷えるので、キルティングの暖かい布などが適しているかもしれません。

航空会社は「機内では水以外、一切エサをあげてはならない」という条件も要求してきましたが、ロサンゼルスから成田まで約11時間あります。その間、何も食べさせないのは危険ですから、栄養価の高いおやつを携帯して、巾着袋の中で見えないのをいいことに、機内で与えました。それに、誰もそんなこと確認に来なかったです。要は、他の乗客に迷惑がかからなければ、いいのではないでしょうか。

機内で困ったことが1つ起きました。鳥さんの方はフライト中ず〜っと大人しかったので、鳥さんの問題ではなく、他の乗客の問題です。私の親友の、隣の座席にいらしたおばさまが、「ちょっとあなた、それ鳥?臭くて気分が悪くなりそうだわ〜!!」と騒ぎ始めたのです。もちろん、うちの仔たちは臭くなんかありません。そのおばさんは、ともかく鳥が大嫌いだったんだと思います。

苦情を受けて困惑したフライトアテンダントが、私に相談に来ました。「このように嫌がってるお客様がいらっしゃるので、あちらのケージを非常口の横へ移動しても宜しいでしょうか」と相談されました。そのおばさん、ともかく嫌がっているので、これは仕方ないと思って承諾しました。ただ、非常口の横って、も〜んのすんっごい極寒状態なんです。自分と親友の来ていたコートと毛布をかけ、さらにフライトアテンダントに頼んで、もう一枚毛布をもらって、かけてあげました。あまりに寒い場所なので、心配で心配で何度も見に行きました。フライト中には、こういう予期せぬ問題も起きる可能性があるので、念のため記しておきますね。

で、3羽とも無事、成田に到着しました。念のため、検疫所を通る時に「これオカメインコです」と申し出ましたが、「はい、どうぞ」って検査どころか、巾着袋の中を見ようともしませんでしたよ(−−;)こんなことだから密輸が後を絶たないんでしょうね〜。その後、うちのオカメちゃんたちは、旅の疲れもせず、元気に暮らしています。皆さんも、万全の準備をして安全な旅をなさってくださいませ〜!

アメリカへの鳥(サイテス非指定種)の持ち込み・検疫について

アメリカ在住の「もこ」さんからメールを頂戴いたしました。もこさんはセキセイインコを連れてアメリカへ行かれた方です。その手続きの仕方などについてご親切にお教えくださいました。「私のわかる範囲での手続きの仕方を書いておきますね。ただ、検疫料等は更新されることがあるので1999年12月の時点での情報、また あくまでも参考までということでお願いしますー。」とのことです。
※アメリカのペット鳥輸出入については「まりのアメリカ情報」もご参照下さい。

申請書の入手(大使館):
大使館では英語の申請書と説明書をくれるだけで、あとは何もしてくれないです。また、大使館ではFAXか手紙でしか質問等の受け付けはしてくれないので気をつけてください。

申請書の入手(USDA/検疫所):
アメリカのUSDA(The U.S.Department of Agriculture)の中のAPHIS(Animal and Plant Health Inspection Service:検疫を担当する部署)に申請書を請求します。このとき、鳥の種類と一緒に入国したい旨を伝え検疫料の支払方法や他にわからないことを質問するといいと思います。FAQや検疫料などの詳細が書かれたものも一緒に郵送で送ってくれます。この申請書は検疫の予約を兼ねていると思ってくださいね。
直接、検疫所からも取り寄せが可能です。私はこの方法でしたのですがUSDAと同じでOKです。思うに、USDAはアメリカ全土を管轄しているので検疫所の方がこまめに対応してくれるんじゃないかな。所内の様子なんかも聞けますし。

手続き:
書類に記入し終わったら、だいたいの入国予定日を書いた紙と一緒に送り返します。普通はこの時に検疫料も小切手(International MoneyOrder)で支払います。クレジットカードはアメリカ国内ではOKですが、外国の場合は未確認なので聞いてみてください。
正式な日程が決まったら、日にちと到着する空港、飛行機のフライトNo.を早めに伝えます。空港は目的地の一番近くにある検疫所から一番近い空港を選んだ方がいいです。基本的にはアメリカ国内のどこの検疫所でもいいんですが、検疫を終えてから飼い主が引き取りに行かなくてはいけないので一番近い空港でないと飛行機代がかかります。(笑)
フライトNo.は検疫所の職員が到着の空港まで小鳥を引き取りに来てくれるからです。正式な日程を伝えるときに、待ち合わせ等の具体的なことも話し合います。
申請書(検疫所の獣医さんのサイン入り)と領収書は普通2週間以内に送り返してくれます。これが届いたら日本の獣医さん(どこでもOK)に小鳥を連れて行き、健康診断をしてもらい健康であるという1羽ずつの証明書(英語でですが、簡単なもので大丈夫です)と担当した獣医さんの署名を書いてもらいます。診てもらう項目(たいしてないです)は申請書や同封されてきた説明書に書いてあるのでチェックしてください。またこの診断書は渡米の2週間以内でなければいけないので、早くに診てもらっても無効になりますから注意してください。
* 本来はgovernment veterinarian(国が指定する獣医さん?)であるほうがいいらしいのですが、なんのことやらさっぱり意味がわからなかったので私は近くの獣医さんにお願いしました。心配な方は日本のAPHISに聞いてみると教えてくれるかもしれないです。
(APHIS Tokyo: TEL03-3224-5111 FAX03-3224-5291)

話が前後しますが、飛行機のチケットを予約するときは小鳥が同伴であることを必ず伝えましょう!どんな種類の小鳥を何羽か、またケージの大きさと重さも聞いてきます。ただ航空会社によって条件がいろいろなので注意が必要ですね。私が思うに、国際線の場合は長時間のフライトになるので、絶対に座席下そしてエサをケージ内に入れてOKなところでないと鳥さんの健康状態が心配…です。
私は成田からLAの直行便を探したのですが、エサまでOKなのはノースウエストしかありませんでした。しかも小鳥を連れていくのはマレなのか、担当者によって答えが違うことがあるので最低3回は日を改めて同じ質問をした方がいいですね。あと、念のため担当者の名前も聞いておきましょう。トラブルがあったとき、いつ・誰に聞いたらこういう返事をもらったと言えますから。
あと、JALもキャビンに持ち込みOKだったのですが、ケージが指定されたものでないといけないことと、料金がNW(1ケージ\19,800)の倍近くでした…

話はもどって、健康診断を終えたら書類は自分で持っています。そして、出発当日はすぐに取り出せる手荷物に入れておきましょう。航空会社のチェックイン・カウンターで見せなくてはいけない場合があります。

入国した空港にて:
動植物を検閲するカウンターで引き取りに来てくれたUSDAの職員に小鳥と書類を渡します。入国する際は検疫所の近くの空港になるので、多くの方は乗り換えが必要になると思います。
* さすがはアメリカ!? 時間にはすごくルーズです。飛行機の乗り換えをする方はかなり余裕をもった方がいいです。私は担当者が到着するまでに2時間待たされましたー。あと、機内で与えたエサはケージ内にある分を除き空港で没収されます。日本から穀類の持ち込みは許可されてないそうで、私が持っていった分はあっさりゴミ箱行きとなりました…(T_T)

引き渡しが済んだら、あとはひたすら30日間待つのみ。面会もできません。が、電話で元気にしているかという問い合わせはOKです。きちんと様子を見に行ってから答えてくれます。
20日くらいを過ぎて小鳥に異常がなければ、飼い主への引き渡しについて電話連絡があるか、こちらから様子を問い合わせた時にその話をしてくれます。
そしてめでたく30日目に検疫所へ直接行くか、小鳥を預けた空港で(職員の方が届けてくれます)喜びの再会です〜!認識番号入りの足輪をつけられてました。 そんな訳で飛行機代がかかります。(^^; 直接検疫所へ迎えに行く場合はわからなくて申し訳ないのですが、届けてもらう時は30ドルちょい払うことになります。
* 万が一、病気等が発見された場合は飼い主の負担で日本に送り返すか、検疫所内で処分される(T_T)形になります。
ここでいう病気はニューキャッスル病のような伝染病ですが、他の病気を持っている場合でも当たり前ですが渡航は避けた方がいいですね。健康な小鳥にとっても かなりハードな時間になるわけですから。

サンディエゴの検疫所に関してですが(受け渡し空港はLAです。他の検疫所についてはわからなくて ごめんなさい)小鳥のケアはちゃんとしてくれるので心配はいらないです。また、持っていったおもちゃは検疫中のケージに入れてくれるので、お気に入りのものがある子には渡してあげると暇しなくていいかもしれないですね。

強調しておきたいこと:
私は自分のビザの申請も同時進行でしてみて感じたのですが、アメリカって国はたとえお役所仕事でも けっこう適当だったりします。私はスムーズにいきましたが、書類とかを平気でなくし待たされたあげく問い合わせてみたら そんなのは知らない、再申請してくれ、とか。
LA・サンディエゴ検疫所は親身になって進めてくれますが、万が一のことを考えて健診以外は早め早めに行動することをお勧めします。

アメリカの検疫所:

さて、検疫所は下記の通りです。数が少ないですよね…

Honolulu, HI(ハワイ)      Miami, FL(フロリダ)       Los Angeles, CA(カリフォルニア)
Port Veterinarian        Port Veterinarian        Port Veterinarian
3375 Koapaka Street      P.O.Box 660657         9680 South La Clenega Boulevard
Suite                Miami Speings,FL 33266    TEL:(310)215-2352
Honolulu,HI 96819        TEL:(305)526-2926       FAX:(310)215-1314
TEL:(808)861-8560       FAX:(305)526-2929
FAX:(808)861-8570

McAllen, TX(テキサス)     New York, NY(ニューヨーク)
Port Veterinarian        Port Veterinarian
320 North Main Street     JFK International Airport
Room 135             Cargo Building77, Room 116
McAllen, TX 78501       Jamaica, NY 11430
TEL:(210)687-8314        TEL:(718)553-1727    
FAX:(210)687-1267       FAX:(718)553-7543    

San Ysidro, CA (ここは検疫のみで受け付け等はしていません)
Port Veterinarian
P.O.Box 126
San Ysidro, CA 92073
TEL:(310)215-2352
FAX:(310)215-1314

それとUSDAの英文サイトがあるので見ておくといいかもしれません。
http://www.aphis.usda.gov

以上です。
もこさん、貴重な情報ありがとうございました〜。もこさんはセキセイちゃんをお連れになったので検疫だけで済んだわけです。セキセイ・オカメ以外の鳥種では、検疫に加えて上記サイテス関係の手続きも必要になりますのでご注意下さい。

ワシントン条約について(ふたたび)

ワシントン条約はU類種を家族としている私たちは熟知しておく必要があります。そこで重複になりますが、さらに詳しく説明しましょう。

ワシントン条約 
(CITES : Convention on International Trade in Endangered Species of WildFauna and Flora )

1. 締結の経緯 

 1972年6月、スウェーデンのストックホルムで開かれた国連人間環境会議において「特定の種の野生動植物の輸出、輸入及び輸送に関する条約案を作成し、採択するために、適当な政府又は政府組織の主催による会議を出来るだけ速やかに召集する」ことが勧告されました。そしてこれを受けて、アメリカ政府及び国際自然保護連合(IUCN)(スイスに本部を置く非政府機関ですが、国家、政府機関及び民間団体が多数加入しており、 我が国は1995年6月国家会員、環境庁は、78年より政府機関として加盟その他民間団体多数が加盟しています)が中心となって野生動植物の国際取引の規制のための条約作成作業を進めた結果、1973年3月3日にワシントンで本条約「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(Convention on International Trade in Endangered Species of WildFauna and Flora)」すなわち「ワシントン条約」が調印されたのです。
 日本は国内業者(印鑑業者などが中心)との調整に時間がかかりましたが、1980年11月4日に加盟していています。1980年に批准、同年8月23日に公布されました(条約25)。

2. 条約の目的

 ワシントン条約(CITES)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的としています。その付属書 T〜Vに掲げられた動植物及びその製品等の国際取引に際しては、その生物を絶滅させる危険がない等の一定の条件の確認の下で発給される「輸出許可書」(再輸出の場合は本条約に則って輸入されたものである旨の「再輸入証明書」)等を輸出国の所管官庁から取得し、輸入国の所管官庁に提出しなければならないことになっています。

3. 対象種

附属書T
 絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるものが掲げられています。
 これらの種の取引は、特に厳重に規制されることとなり、商業的目的のための取引は禁止されており、学術研究用を目的とした輸出入に際しては、輸入許可書及び輸入許可書の双方が必要です。現在動植物約557の種が指定されています。

附属書U
 現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がされないようにするためその取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるものが掲げられています。
 輸出入に際しては輸出国の輸出許可書等が必要です。輸出許可書等が発行されれは商業取引を目的とした輸出入もできることとなっています。現在約264の種が指定されています。

附属書V
 いずれかの締約国が自国の管轄内において規制を行う必要があると認め、かつ取引の取締りのため他の締約国の協力が必要であると認める種が掲げられています。輸出入に際しては、原産地証明書等及び附属書Vに当該種を掲げた国から行われるものについては、輸出国の輸出許可書が必要です。現在約241の種が指定されています。

4.規制の対象

 附属書に掲げられている種が規制対象となりますが、野生動植物の生体のみならず、剥製、その部分及びそれらを用いた毛皮のコート、ワニ皮のハンドバッグ、漢方薬、象牙細工等の加工品も規制対象となり、税関で没収されるケースが跡を絶ちません。

5.取引の例外措置

 付属書Tに掲げられている動植物であって、商業目的のため人工的に飼育により繁殖(ブリーディング)させたもの及びこの条約が適用される前に取得されたものについては、それらの証明書があれば商業取引も可能となります。

6.その他

 この条約は締約国間の取引のみならず、非締約国との間の取引についても締約国側は他の締約国間と同様の規制を行う義務があるのです。このため、非締約国に対してもこの条約にいう輸出許可書等とその発給要件が実質的に一致している書類を求める必要があります。
 また、締約国は国内に管理当局と科学当局を設けることが定められています。日本では管理当局(輸出入規制担当)は通商産業省・農林水産省(海からの持込みの場合)、科学当局(輸入に係る種の存続を脅かす可能性等について助言を行う)は農林水産省(海棲哺乳類、魚類、植物)と環境庁(その他の動物)となっています。

7.条約協定等の内容

第1条 定義
第2条 基本原則
第3条 附属書Tに掲げる種の標本の取引に対する規制
第4条 附属書Uに掲げる種の標本の取引に対する規制
第5条 附属書Vに掲げる種の標本の取引に対する規制
第6条 許可書及び説明書
第7条 取引に係る免除等に関する特別規定
第8条 締約国のとる措置
第9条 管理当局及び科学当局
第10条 この条約の締約国でない国との取引
第11条 締約国会議
第12条 事務局
第13条 国際的な措置
第14条 国内法令及び国際条約に対する影響
第15条 附属書I及び附属書IIの改正
第16条 附属書III及びその改正
第17条 この条約の改正
第18条 紛争の解決
第19条 署名
第20条 批准、受諾及び承認
第21条 加入
第22条 効力発生
第23条 留保
第24条 廃棄
第25条 寄託政府附属書 T附属書 U附属書 V附属書 W公布年月日

8. 締約国数

 134か国(1996年10月1日現在 但し、発効している国は132カ国)です。世界中のほとんどが加入していると言って過言ではないでしょう。
●アジア
アフガニスタン、インド、インドネシア、大韓民国、シンガポール、スリランカ、タイ、中華人民共和国、日本、ネパール、パキスタン、バンクラデシュ、フィリピン、ブルネイ、べトナム、マレーシア、
●中近東
アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、エジプト、キプロス、ヨルダン、
●オセアニア
オーストラリア、ニュージーランド、パブアニューギニア、バヌアツ
●ヨーロッパ
イギリス連邦、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシア、スイス、スウェーデン、スぺイン、スロバキア、チェコ、ロシア、デンマーク、ドイツ、ノルウェ一、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、べルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、モナコ、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ルーマニア、
●北アメリカ
アメリカ合衆国、力ナダ、メキシコ
●南アメリカ
アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、コロンビア、スリナム、チリ、バラグアイ、ブラジル、べネズエラ、ぺルー、ポリビア
●中央アメリカ
エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、セントクリストファーネービス、ニカラグア、パナマ、べリ一ズ、ホンジュラス
●カリブ
キューバ、セントビンセント・グレナディーン、セントルシア、ドミニカ共和国、トリニダードトバコ、バハマ、バルバドス
●アフリカ
アルジェリア、ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ガーナ、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、コートジボワール、コモロ、コンゴ、ザイール、ザンビア、シエラレオネ、ジプチ、ジンパブエ、スーダン、セイシェル、赤道ギニア、セネガル、ソマリア、タンザニア、チャド、中央アフリカ共和国、チュニジア、トーゴー、ナイジェリア、ナミビア、ニジ工一ル、ブルキナファソ、ブルンジ、ペナン、ボツワナ、マダガスカル、マラウィ、マリ、南アフリカ共和国、モーリシャス、モザンビーク、モロッコ、リベリア、ルワン