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あおごめ(青米)
文鳥が好む餌。「しいな」と呼ばれる稲刈後の二番穂に実る米で、未熟なため薄緑色をしている。
あおな(青菜)
ビタミンを摂取するために、すべての鳥種で与えるべき保健飼料。コマツナを筆頭に、大根菜やハクサイ、キャベツ、野草のハコベなどが代表的である。ビタミンの摂取は本来栄養剤よりも、こうした自然の形で与えた方が望ましい。ホウレンソウには「蓚酸」が含まれていて骨への石灰沈着を妨げるとも言われるが、さして心配する必要はない。ただしアクが強いので鳥は好まない。通常は「菜挿し」に入れて、鳥が食べる分量を見て毎日取り替える。
あしくさり(足鎖)
オウムや大型インコをスタンドに止まらせて飼う場合に、逃亡を防止するためにスタンドと足をつなぐ鎖。長すぎても短すぎても事故の原因になりやすく、特別な事情がある場合以外にはあまり使用すべきではない。
あしわ(足輪、足環)
個体識別を主目的として、鳥の脚部にとりつける輪。フィンチなどではプラスチック製もあるが、インコなどではほとんどが金属製で、ブリーダー名、孵化年月、個体番号などが刻印されている。しかし世界的な統一基準がないため、ブリーダーによってまちまちな刻印がされているので、決定的な判断ができないのが難。左右どちらに付けるかは基準がなく、「左足につけている個体はどうこう」などという噂はまったく根拠がない。足環には閉式と開式があり、前者はヒナの時に装着され生涯はずせない個体認識票となるが、自由に脱着できる開式は認識票としての信頼性に欠ける一時的なものである。
あらどり(荒鳥)
単に「荒」とも言う。また「新鳥」とも表記する。二つの意味がある。(1)人工繁殖ではなく野生下の鳥を原産地から採取してきた個体のこと。ワシントン条約などにより、近年ではこの意味での「荒鳥」の輸入数は減少している。(2)人工繁殖で生まれた個体であるが、育雛を親鳥に任せたために「手乗り」になっていない個体のこと。巣引きを目的とした場合は荒鳥のほうが向いているとされる。
あわたま(粟玉)
ヒナや病鳥などに与える栄養価を高めた餌。人工育雛の主食的存在。むき粟に卵黄をまぶしたもので、既製品が袋詰めで販売されているが、飼養者自身で毎回作ったもののほうが安心できる。成鳥の通常期には栄養過多となるので与えない。
あわほ(粟穂)
穂軸についたままの粟の実。鳥がおもちゃとして遊びながら楽しんで食べる。一般に市販されている。
あるびの(アルビノ)
突然変異によって色素を欠いている個体。白色で目が赤い。いわゆる白ウサギと同様で、目が赤いのは血液が透けて見えるからである。アルビノが体質的に弱いという噂は根拠に乏しいが、野生下では目立つために捕食されやすいのは事実である。
いきえ(生き餌)
餌として鳥に与える、生きている昆虫など。渓流釣りの餌として販売されているエビツルムシが最良とされるが、一般的には小鳥店で販売されているミルワーム(コメノゴミムシダマシの幼虫)が使用される。九官鳥などの雑食性の鳥種には積極的に与えるが、その他の鳥種にも時々は保健飼料として与えても良い。自然界では穀食鳥も虫を食べている。
いくすう(育雛)
孵化したヒナを巣立ちまで育て上げること。人間の手で行う場合を人工育雛と呼ぶ。
いろがわり(色変わり)
突然変異により、その種の代表的な羽毛色彩と異なる色彩の羽毛を持った個体。特に前世代と異なる色彩の場合を指すことも多い。現在ではメンデルの法則などを利用して、人工的に色変わりを作出することが行われている。緑色から黄色を抜き青色を作るなど、その種が本来持っている色素のうちのいくつかを抜くことで可能となる。
いんぶりーど(インブリード)
親子など、近い血縁の間の近親交配のこと。まれに優良な素質が強調されることもあるが、通常は奇形や病弱などが起こりやすく、避けなければならない。遠い関係の近親交配はラインブリードと呼ぶ。これもインブリード同様に望ましいことではない。
いんきゅべーた(インキュベータ)
保育器のこと。常に温度湿度を一定に保つ機能を備えた器具。病気の場合収容される。通常でもこれで飼養することを勧める説もあるが、それでは手乗り鳥どころか何のために鳥を飼うのかわからなくなる。実験動物としての飼養法である。
うじく(羽軸)
羽根の芯となる軸のこと。成長期には血液が通っているが、成長完了後は血液は通っていない。
うそたべ(嘘食べ)
消化器疾患(特に真菌性感染症)に罹患した鳥は、あたかも摂食しているように餌をついばむ行動をしてみせるが、実際は食べていないことが多く、これを俗に嘘食べと言う。本当に食べているかどうかはフンの量や体重で判定する。
うべん(羽弁)
羽軸からのびた、いわゆる「羽根」の部分。
うらなり(裏成り)
同じ親鳥から同時期に生まれたヒナのうち、成長の遅い個体。孵化順序などで体の大小の差が生じると、小さい個体は食餌摂取もままならず、悪循環でますます虚弱になってしまうことが多い。
えいそう(営巣)
巣作りのこと。繁殖期に入ったつがいが、鳥種に応じた好ましい産卵・育雛環境を整える。コザクラインコは紙を細長く上手に噛み切って巣に持ち込むことが知られている。
えごま(荏胡麻)
胡麻の一種の高脂肪餌。非常に脂肪分が多いため、特別な用途(発情餌・防寒餌)としてのみ与える。
えりざべすからー(エリザベスカラー)
毛引き症などの対策として、鳥の首のまわりにつけるプラスチックや革で作った大きな襟状のもの。クチバシが体に届かないようにすることを目的とする。英国の女王エリザベス一世時代の大きな襟付服に似ているのでこう呼ばれる。犬猫でも皮膚病のときなどに使用する。
おいこみかご(追い込みカゴ)
巣立ちした若鳥など多数を収容させ、十分な運動量を確保し、日光浴などをさせるための大き目の金網カゴ。雑居カゴとも呼ばれ、間口85cm、奥行き60cm、高さ60cm程度のものが多い。
おいざかり(追い盛り)
メスが抱卵中であるのもかかわらずオスが発情して交尾しようとすること。メスもこれに応えて抱卵を中止してしまい、再び産卵するなどして、結局孵化しなくなってしまう。これを予防するために、抱卵中には決して発情飼料を与えてはならない。
おちる(落ちる)
鳥が死ぬこと。江戸時代に直接的な表現を忌むために使われた言葉。現在も使用されている。落鳥とも言う。人間側に死亡の原因があった場合は「落とす」と表現する。
おーとみーる(オートミール)
燕麦を脱穀し、圧扁加工した人間用食物のこと。しかし飼鳥では圧扁加工せずに脱穀しただけのものを言う場合も多い。良質のタンパク質を含有している。
おのみ(苧の実)
飼料である麻の実のこと。「ちょま(苧麻)」=カラムシの実のことを呼ぶ。
おはち(御鉢)
文鳥の人工育雛の際などにヒナを収容する藁製の丸型のもの。通常は「ふご(孵籠)」と呼ばれる。陶器の鉢を梱包する材料に似ているために呼ばれた名称。
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がいちゅう(害虫)
昆虫やその他の節足動物類の中で人間生活に害を及ぼすものの総称。飼鳥生活においては、鳥に寄生するダニのような外部寄生虫、回虫などの内部寄生虫などの他に、鳥の飼料を食害するものがある。こうした食品害虫はヒトの食物(主に小麦粉や乾メンなどの乾燥食品)にも大きな被害を出すことがある。また寄生ダニはアレルギー疾患の原因ともなるので、防虫・駆虫には常に配慮すべきである。
かけえいれ(掛け餌入れ)
カゴの針金に引っかける形式の餌入れ。ボレー粉などを入れる。プラスチック製が多いが、軽いといたずらして落としてしまうこともあるので、Wクリップなどで固定すると良い。九官鳥は特にいたずらが激しいので、磁器でカンヌキが挿し込むことのできる専用のものを用いる。ボレー粉を主食飼料に混ぜないのは、主食飼料が基本的に毎日取り替えるのに対し、ボレー粉は1週間程度入れたままにする利便性のためであり、ボレー粉も毎日取り替えるのであれば分ける必要はない。
かしょくちょう(果食鳥)
果物を主食としている食性の鳥のこと。花の蜜を食べる蜜食鳥も含むことが多い。ヒインコ科の鳥が代表的で、飼養下においても、その食性を考慮した飼料を与えるべきで、穀物の種子ばかり与えることは健康上望ましくない。排泄物は水分が多く、ベチャベチャとして臭気が強いため始末が大変である。
かためかぜ(片目風邪)
鼻眼結膜炎の俗称で、風邪症状から結膜炎を起こし、最悪の場合失明してしまうこともある。原因はさまざまな病原性微生物である。
かとるぼーん(カトルボーン)
コウイカというイカの甲羅を干したもの。インコなどがカルシウムを補給するためにカジる。サーフボードの形をした12cmほどの長さのもので、外周部と背部は堅く、内側はやわらかいので、鳥の好む部位を与える。専用の金具でカゴに取り付ける。
かぼ(仮母)
鳥種によっては自分で産んだ卵を抱卵しないものがある。また抱卵孵化してもヒナを育てないものもある。キンカチョウコキンチョウなどのフィンチ類に多く見られ、その場合は仮母に育てさせることになる。仮母には育雛上手なジュウシマツが多く使用される。目的の鳥の産卵にタイミングを合わせてジュウシマツに産卵させ、卵を取り替える方法をとり、これを「たくらん(託卵)」と言う。
かるかや(刈萱)
巣材としてもっとも優れているとされるもので、刈萱という植物の根。一般に巣草として小鳥店で販売されている。一度煮沸消毒・日光消毒したものを利用したい。
かんう(換羽)
トヤとも言う。鳥は換羽期を迎えると全身の羽毛が新しく抜け替わる。ヒナは成鳥になるまでに必ず抜け替わり、ヒナ毛から脂分の多い親毛となる。これを「ヒナトヤ」と言う。その期間は巣立ち後1ヶ月から1年と、鳥種でかなり異なる。一般的に大型の鳥は生え変わりが遅い傾向である。成鳥になっても1年に1回、まれに2回換羽期を迎える。これを「成鳥トヤ」と言う。ホルモンの影響や環境の変化によって換羽が始まるとされる。時期は晩春から梅雨時、夏にかけてである。
インコ類ははっきりした換羽期がなく、一年中すこしずつ生え変わっているが、四季の明確な日本で気候馴化した個体はフィンチ同様に春から梅雨時、夏までに多く換羽するようである。ともかく1年間で風切り羽・尾羽まで含め、すべての羽が生え変わる。
きかちょう(帰化鳥)
元来外国産であった「洋鳥」が、国内に輸入された後に何らかの理由で逃亡(カゴ抜け)し、日本の気候に馴化して繁殖したもの。東京の世田谷区から目黒区にかけて繁殖しているワカケホンセイインコなどが有名である。スズメも元来は帰化鳥であったという説もある。
きこうじゅんか(気候馴化)
輸入された「洋鳥」が日本の気候に慣れて体質的に強健になること。原産地の緯度が日本と接近している場合は馴化が容易であるが、熱帯地方原産の鳥を馴化させるにはゆっくりと時間をかける必要がある。「はじめての冬越しが大切」と言われるのはこのせいである。気候馴化すれば鳥は想像以上に丈夫である。
きゃりー(キャリー)
移動中に鳥を収容するためのもの。移動中は外を見て興奮しないように小型の鳥かごに入れて風呂敷きなどで包む場合もあるが、簡便性などから小型犬猫移動用のプラスチック製キャリーを用いることが多い。内部のつくりなどを見て、カジられたり危険になるものがないかどうか検討して購入したい。
きょうせいきゅうじ(強制給餌)
病気などの理由で自分で餌を食べなくなった鳥の体力低下を防ぐために、強制的に餌を食べさせること。ヒナ時代の「差し餌」同様に、「フードポンプ」などを使って餌を直接そのうに送り込む。ヒトで言う点滴と同じ観点の行為である。
ぎらん(擬卵)
卵は一日に全部産まれるわけでなく、数日かけておこなわれる。そのままでは孵化した順にヒナの成鳥に差が生じて「うらなり」が出てしまうので、先に産まれた卵をプラスチック製の「擬卵」と取り替えておき、全部産卵し終わった段階で真卵に戻す。保管途中の真卵は脱脂綿を敷いた箱に数日間入れていても問題はないとされる。
きんしゃ(禽舎)
一般的には屋外に設置する鳥小屋のこと。二重扉にして逃亡を防ぐ、周囲をコンクリートで固めて野良犬の侵入を防ぐ、半分を屋根で覆って直射日光を防ぐ、無害の木を中に植えて自然の止まり木にするなど、さまざまな工夫をすれば、鳥にとって最も快適な住環境となる。ただし手乗り鳥にとっては自由があり過ぎてヒトとの距離が離れてしまう可能性がある。大型インコの繁殖には最低1坪の禽舎設備が必要である。
きんしんこうはい(近親交配)
血縁関係の濃い雌雄による繁殖。貴重な種の保存の場合などにはやむを得ず実行されることもあるが、さまざまな悪影響が考えられるので、一般飼養者はすべきではない。特に同腹兄妹の交配は絶対に避けるべきであると言われている。性的成熟期を迎えた兄妹は必ず距離を離して暮らさせるべきで、さもないと目の届かないところで近親間交尾が行われる可能性がある。
ぐりっと(グリット)
鳥には歯がないにもかかわらず堅い木の実などを食べるが、これは筋肉の発達した胃、「筋胃」または「砂嚢」ですりつぶされることにより消化される。この筋胃内には砂などの少量の鉱物質が貯えられ、消化に役立つことになり、この鉱物質を「グリット」と呼ぶ。細かな焼いた川砂(焼砂)やボレー粉などが代表的なものである。ただしボレー粉は消化液で容易に分解されてしまうためにグリットにはならず、またインコ類ではグリットそのものを必ずしも必要としないと言う説もある。
くりっぷ(クリップ)
手乗り鳥が飛翔逃亡しないようにすることを主目的に、鳥の風切羽を切り取ること。
ぐぜりなき(愚ぜり鳴き)
幼鳥が鳴き始めるときに、本来のその鳥種のさえずりでなく、口の中で低音でごにょごにょ言い出すこと。九官鳥やインコなどではこの時期からおしゃべりの訓練を始めると有効である。ぐるーみんぐ(グルーミング)羽づくろいを参照。
げいもの(芸物)
羽、羽毛が巻き毛状態になった個体。異常ではなく、その形質を維持するように努めている飼養者もいる。羽根が風車のようになった「はごろも(羽衣)」や、頭部がおカッパのようになった「ぼんてん(梵天)」などがある。
けーじ(ケージ)
金属製の鳥かごを指す英語。最近では「鳥かご」と呼ばずに「ケージ」と呼ぶことが多くなった。スペルはCageで、「ゲージ」は誤った読み方。
けつう(血羽)
血の通った羽。成鳥途上の「筆毛」で、折損するとかなり大量の出血をする。成長しきった羽には血液が通っておらず、抜いたり折損しても出血はしない。けづくろい(毛繕い)羽づくろいを参照。
けんらん(検卵)
産まれた卵が有精卵か無精卵か確認する行為。産卵後1週間程度経過した段階で卵をスプーンで取り出し、光に透かして血管の有無を見て判断する。熟練者以外は失敗することが多いので、無理にすることは望ましくない。
こうせいぶっしつ(抗生物質)
微生物の代謝産物として生産され、宿主には悪影響を及ぼさずに病原性微生物や腫瘍細胞などの生活機能を抑制、殺滅させる効果を持つもの。アオカビが生成するペニシリンなどが代表的だが、現在では化学的に合成した物質も抗生物質と呼ぶ。感染症に劇的な効果を発揮するが、用法用量が難しいので、必ず獣医師の処方指示により用いること。
こうび(交尾)
鳥の雌雄による性交。鳥種により継続時間などが異なる。若い雄鳥は交尾姿勢をとっても実際には交尾していないことも多い。興味本位に覗くと途中で中止してしまうことが多いので、注意したい。
こおけ(籠桶)
鳥の保温と安静を目的に、鳥かごを入れる木箱。障子と扉がついたもので、日本で江戸時代から使用されている。主に鳴き声を鑑賞することを目的とした鳥種に用いられ、「声桶」とも表記される。手乗り鳥には通常用いないが、保温のために工夫してみるのも面白い。
こくしょくちょう(穀食鳥)
穀物を主食とした食性の鳥種。ほとんどのフィンチ類、インコ類がこれにあたり、「まきえどり(撒餌鳥)」とも呼ばれる。飼料の入手・保管が楽で、排泄物が固形的なので始末が楽で臭気も少ない。そのため、飼鳥にはこの種の鳥が多い。
こばんがたみずいれ(小判型水入れ)
楕円形をした陶器製の水入れで、鳥かごの下部に置く。重量があるのでひっくり返されることが少ないが、フンが入ったり水浴びをしてしまうなどの欠点も多い。
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さしいづみ(差しいづみ)
差し餌をしている最中にヒナを収容しておく入れ物。「ふご(孵籠)」や「ますかご(桝籠)」などのこと。ボール箱などでも構わないが、保温性、通気性、安全性を十分考慮する必要がある。
さしえ(差し餌)
人工育雛として、人間の手でヒナに給餌すること。餌を差し込むように食べさせるためにこういう名称となった。「さしぼう(差し棒)」やスプーン、「そだておや(育て親)」などの給餌スポイト、注射器型の「フードポンプ」などを用いて給餌する。食べさせる餌は「あわたま(粟玉)」ほか、鳥種によってさまざまであるが、最近は輸入品の「パウダーフード」をお湯で溶いたものを与えることが多くなってきた。差し餌で育てることによって鳥は「手乗り」になるのである。ヒナの生後日数により給餌の間隔は変化するが、最初は日中3時間おきくらいに4〜5回与えることになるので、その時間がとれない環境にある場合は不可能である。
さしぼう(差し棒)
差し餌に用いる竹製のヘラ。最近ではあまり使われず、スプーンやスポイト、フードポンプ型の利用が主になっている。
さんざ(産座)
産卵は鳥種によらず巣の中で行われる。その際、卵の保護と安定を図るために産座と呼ばれる部分を形成する。フィンチは巣草を用い、インコ類は巣箱をカジってその木屑を巣に運び込み、産座とする。インコ用の巣箱の市販品は、底の部分が丸く凹んでおり、産座が作りやすくなっている。
さらす(皿巣)
ワラ製の巣には皿巣と「つぼす(壷巣)」の2種類がある。皿巣は文字どおり皿型の巣で、カナリヤの繁殖時のみに使用する。普通は文鳥には用いないが、横形木製巣箱を使うときは産座として使用することもある。
しーど(シード)
種子のこと。最近では、特に人工成形飼料であるペレットに対して、従来から用いられる粟やヒエ、ヒマワリや麻の実などの自然の種子類餌を総称する言葉として用いられる。
じいく(自育)
鳥が自分で産んだ卵を自分で抱卵孵化させ、育雛すること。本来、野生ではほとんどの鳥種が自育であるが、コキンチョウのように仮母を必要とするようになった鳥種もある。
じご(地仔)
「じっこ」とも言う。現在の飼鳥はほとんどが外国原産の「ようちょう(洋鳥)」であるが、輸入後2〜3世代を日本で過ごして繁殖された日本生まれの個体のこと。地仔は気候馴化がなされており強健で、病気に対する抵抗力も強く、初期感染の可能性も低いとして、個体選定基準の一つとされる。一般的に輸入個体よりも高価である。
じどうきゅうじき(自動給餌器)
餌やりの手数を軽減するために、透明プラスチック製のホッパの中に飼料を入れ、底の開放部で鳥が餌を食べた分だけ下に飼料が落ちてくる構造の餌入れ容器。衛生的で留守にするときなどは便利であるが、殻付きシードを与えている場合は殻だけが残って出口が詰まり、思うように飼料が落ちてこないこともあるので注意が必要である。
じどうきゅうすいき(自動給水器)
サイホンの原理を応用して、自動給餌器のように、減った分の水が補給される構造の水入れ容器。フンの混入などがないため、衛生的である。古くからニワトリやウズラ飼養に用いられてきた陶器の給水タンクや、プラスチック製のものがある。このほか、犬や小動物飼養に用いられるドリンクボトルタイプ(出口が金属球の弁になっており、鳥が舌で押したときのみ水が滴下する)も用いられるようになってきた。いずれのタイプも構造が複雑なので、衛生管理に注意が必要である。
しにえ(死に餌)
生き餌の反対語ではなく、シードについて用いられる言葉。蒔いても発芽しない種子のことで、ムキ餌などが代表的である。発芽能力のバイタルアクションにかかわる栄養素が不足し、また乾燥するうえにぬれるとカビやすいために鳥の健康上、あまり好ましくないと言われることが多い。なお麻の実は発芽防止処理がなされているので殻付きでも「死に餌」である。
しにごもり(死に篭り)
ヒナが卵から孵化できずに死亡してしまうこと。
しふん(脂粉)
「こなう」とも言う。インコ類、特にオウムなどの大型インコに多く見られる羽の間から出る白色の微粉末。羽毛形成物質の表面細胞から生じるケラチン物質。その目的は明確ではないが、防水性向上、輝きを増すためなどと推測されている。活発に脂粉が出ることは健康の証拠とも言われるが、過度の吸引は人間の呼吸器にとって有害であるとも言われる。
しゃくかご(尺籠)
奥行き一尺(約33cm)の竹カゴで、フィンチ用に古くから用いられている。さらに大きな「尺二籠」(一尺二寸)もある。
しゅきん(種禽)
「たねどり(種鳥)」とも言われる。繁殖をさせる鳥のこと。
しゅじ(主餌)
主食となる飼料のこと。人間で言う「ご飯」にあたる、食事の中心をなすもの。
しゅっけつはん(出血斑)
爪やクチバシに、血豆のような内出血の斑点が見られること。外傷というよりも、肝臓等の内臓疾患が原因であると言われる。
しゅもく(撞木)
オウムなどの大型インコを止まらせるスタンドのこと。止まり木の両端に餌入れ、水入れを取り付け、下に「フン受け皿」がついている。撞木に鎖でつないだ飼い方を「撞木飼い」と言うが、運動不足になる上に鎖による事故も多く、なるべく避けた方が良い。
しょうらくしけつ(焼烙止血)
出血事故の際、蚊取り線香やハンダゴテなどの熱源を利用して出血部位を焼いて止血する方法。収斂薬剤を用いる化学止血法もあるが、消毒を兼ねた焼烙止血の方が安全確実である。
しょくせい(食性)
その鳥の主体となる餌から鳥を分類すること、またその摂食行為そのものの特性を言う。どのような鳥でも多少は雑食性があり、穀物や果実、虫などを食べるが、主に飼養下での主食という観点から次のように分類できる。
植物食性鳥・・・「穀食」「果食」「蜜食」
動物食性鳥・・・「虫食」「肉食」魚食」
雑食性鳥・・・・・「雑食」
しりんじ(シリンジ)
注射器のこと。一般的に注射針を装着しない状態を言う。「とうやく(投薬)」の際には通常の注射器サイズのシリンジを使ってクチバシの隙間から薬液を注入する。差し餌や強制給餌の場合には「フードポンプ」とも呼ばれる大型のシリンジを用いる。
すいぶんかたべん(水分過多便)
鳥は本来、尿を白色の固形で排泄する。しかし飲水量が多い場合はフンの周囲に水のような排泄物を出す。これは余剰水分であって尿ではない。ヒナや大型インコでは多く見られる。飲水量が多い鳥では目立つが、内臓機能障害の可能性もあるので獣医師の診断を経て飲水制限などが必要となることもある。多尿便とも呼ぶ。
すざい(巣材)
産座に敷く繊維質のクッション材料。カルカヤやヤシの繊維(パーム)などの巣草などが用いられる。コザクラインコは紙を細長く器用にカジり切って脇にはさんで巣箱に持ち込み、巣材にする行動をとる。その他のインコ類は巣箱をカジって木屑を巣材とするので、通常は巣草を必要としない。
すだち(巣立ち)
ヒナが成長し、親鳥から独立して生活するために巣から出てくること。この直後の状態の個体を特に「巣立ちビナ」と呼ぶ。ただし野生下での「巣立ち」が完全に独立して一人で餌を探し食べる状態を指すのに対し、飼鳥では巣から出てもまだ親から餌をもらっている場合があるので、放置することは禁物である。孵化から巣立ちまでの日数は鳥種によって異なる。一般に大型の鳥ほど巣立ちまでの期間が長い。
すたんど(スタンド)
2つの意味がある。(1)鳥カゴを吊るす器具。鳥カゴは床に直置きするよりも、高さを持たせた方が温湿度の面から望ましいのでこうした器具を用いる。(2)オウムなどを止まらせる「しゅもく(撞木)」のこと。
すばこ(巣箱)
主にインコ類の巣引きに用いる木製の箱。さまざまなサイズのものが市販されている。インコ類はワラ製の巣よりも木製の箱を巣として好むので、これを用いる。巣引きをしない場合は原則としてカゴ内に巣箱は入れない。不必要な繁殖行動を招き、様々なトラブルの原因となることがある。
すびき(巣引き)
飼鳥に営巣させ、産卵、抱卵させること。育雛させることまでも含めて言う場合もある。単なる「繁殖」ではなく、より積極的に繁殖行動を計画的に実行させるように環境整備し、発情させる行為までを含めた包括的な表現。「引く」というのは、置いてあるものを取って行くことを「置き引き」と言ったように、江戸時代に「とる」ことを「引く」と称したことによる。
すりえ(擂り餌)
日本独特の鳥用飼料で、主にメジロなどの和鳥に与えられる。煎ったきな粉や米ぬかなどの「うわえ(上餌)」と、焼いたフナを粉にした「したえ(下餌)」を混ぜ、さらに擂った青菜を混ぜたもの。蜂蜜を少量加える場合もある。上餌を多くしたものを「弱い」、下餌を多くしたものを「強い」と言う。この強弱は「3分餌」や「5分餌」など「何分」という形で表わされる。これは上餌に対する下餌の割合を示したもので、全体における比率ではないので注意したい。「5分餌」とは上餌(植物質)10に下餌(動物質)5を混ぜたもので、全体では3分の1ということになる。本当に上餌と下餌が1:1のものは「等分餌」「胴返し」と呼ばれるが、ほとんど使用されない。
動物性タンパク質を少量与えることはほとんどの鳥種で健康上望ましいとされているので、撒き餌鳥にもたまに与えると良いとも言われている。ただしあまり「強い」ものは食べず、健康上も望ましくないとされる。擂り餌は腐敗しやすいので与える毎に作らなくてはいけないが、最近ではお湯で練るだけのものも市販されている。一般にメジロは3〜5分の「弱い餌」、ウグイスやホオジロは5〜7分の「強い餌」を与える。
すりえどり(擂り餌鳥)
擂り餌を主食とする食性の鳥。和鳥や九官鳥など、穀物も昆鳥類も食べる雑食性の鳥。穀物・種子類を主食とする「まきえどり(撒き餌鳥)」に対する名称。
すりこみ(刷り込み)
英語のインプリンティングの和訳。鳥は生まれてはじめて見た動くものを親と思い込む習性を持っている(正確には孵化直後でなく、しばらく経過してからだとも言われている)。これを利用して、まだ差し餌を必要とするヒナの段階で親鳥から離し、人間の手で差し餌をすることで人間を仲間と思わせるようにする行為。手乗り鳥にするための第一歩である。
せいちょう(成鳥)
ヒナ時代の羽が鳥種本来の羽に換羽した後の鳥。自分で餌を食べられるようになってから、成鳥になるまでを「わかどり(若鳥)」または「わか(若)」と呼ぶこともある。このあたりの名称の区分は非常にあいまいである。
せいてきせいじゅくき(性的成熟期)
成鳥となり、繁殖能力を得た段階の鳥。文鳥などは生後10ヶ月ほどで性的成熟期を迎えるが、大型インコなどでは4〜7年もかかることもある。性的成熟期を迎えた鳥は行動が野性味を帯びることが多く、大型インコの場合は攻撃的になると言われている。
そだておや(育て親)
文鳥のヒナなどによく用いられる給餌用スポイトの代名詞。主に粟玉を与えるときに使用され、インコ類にも用いられる。(株)コバヤシが実用新案登録をしている商品名だが、一般名詞のように用いられている。
そふとびる(ソフトビル・softbilled)
軟食性の鳥のこと。この中に「虫食鳥・Insectivores」「果食鳥・Frugivores」「蜜食鳥・Nectar−Feeders」などがある。メジロなどの野鳥や九官鳥、オオハシなどがこれにあたる。
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たいしそく(対趾足・対指足)
インコ類の特徴的な趾(足指)の配置。第1、第4指が後ろを向き、第2、第3指が前を向いている。このため着地状態ではX型を示す。オウム目の他、キツツキ目などでも見られるが、インコはこの指の特性を活用し、器用に物をつかんでクチバシまで持っていくことができるものもいる。大型インコはほとんどこの把握能力がある。
たちこ(立ち子)
「巣立ち子」の略で、羽が生え揃って少し飛べる程度にまで成長したヒナのことを指す。「中ビナ」とほぼ同様に使用される。
たにょうべん(多尿便)
固形のフン以外に水分が周囲に見られる便。水分過多便を参照のこと。
ちゅうしらん(中止卵)
孵化寸前までいったが、何らかの理由で卵内のヒナが死亡してしまった卵。「止め卵」とは意味が違うので注意。
ちゅうびな(中雛)
巣立ったヒナが成鳥になる前の状態。いわゆる「わかどり(若鳥)」との区分はあいまいであるが、手乗り鳥の場合は、差し餌を卒業し、自分で乾燥した餌を食べることができるようになった後のことを指すことが多い。差し餌をすることが時間的に不可能な場合は中ビナを入手すると良い。
ちゅうまい(中米)
「あおごめ(青米)」の別名。
つがい(番)
オスメスのペア一対のこと。ただし双方の相性が良く、愛情を持って接する関係であることが必要で、良好な関係のつがいを形成させることが「すびき(巣引き)」の第一歩である。鳥種によって相性の良い雌雄を見つけるのが難しいこともある。
つぶえ(粒餌)
穀物や種子類飼料のこと。「まきえ(撒き餌)」とほぼ同様の意味である。
つぶえどり(粒餌鳥)
粒餌を主食とする食性の鳥。フィンチやヒインコ科を除くオウム目のインコ類はほとんどが粒餌鳥である。「まきえどり(撒き餌鳥)」とほぼ同様の意味である。
つぼす(壷巣)
ワラで壷状に作った巣のこと。文鳥など多くのフィンチ類が巣として利用する。通常ケージの左側上部に、やや上向きに設置する。これは巣引き時の卵やヒナの落下防止のためである。インコ類では巣箱を入れるのは巣引き時のみであるが、フィンチは「ねぐら(塒)」として使用するので、常時設置する場合がある。
つまきず(爪傷)
2つの意味がある。(1)爪の伸び過ぎなどが原因で外傷が発生し、細菌感染などで爪に異常が生じること。(2)外傷のみならず先天性異常も含めて爪の欠落した状態、さらに指が欠けている場合も指す。また、そうした異常を持つ個体そのものも言う場合がある。現状で進行する症状がなければ、鑑賞価値以外は通常の鳥とまったく変わりなく生活できる。価格が安いので巣引き用に購入するブリーダーもいる。
てりとりー(テリトリー)
その個体の縄張り、独占的行動範囲のこと。テリトリーの主張度合いは鳥種により異なる。手乗り鳥といえども、一定のテリトリーを与えることは鳥の精神衛生上好ましい。通常はケージをテリトリーとして与える。飼い主もこのテリトリーは尊重し、鳥がケージ内にいる場合にむやみに手を入れたりしてはならない。飼い主が攻撃を受ける場合もあるし、また鳥の精神状態を不安定にすることがある。
どうがえし(胴返し)
摺餌で上餌と下餌を同じ比率で混ぜたもの。等分餌とも言う。
とうやく(投薬)
治療用薬剤を鳥に摂取させること。シリンジによる直接投薬、飲み水に混入させる飲水投薬、練餌に混入させて与える給餌投薬などがある。鳥が好まない味の薬剤を投薬する場合は、無理なく与える方法を模索しなければならない。
とくしゅしりょう(特殊飼料)
主餌・副餌以外の、特別な用途の飼料の総称。発情飼料、育雛飼料、着色飼料(カナリアに使用するカロチン餌)などがある。
とめだま(止め卵)
産卵行動をしているメスが、最後に産む卵。他のものと色や模様が異なるので判断できる。
とちょう(徒長)
成長し過ぎること。過長とも言う。爪の徒長は爪傷の原因ともなるし、クチバシの徒長は摂食行動の阻害要因となるので、適切に切除、摩耗させる必要がある。ただし異常な徒長は内臓疾患の可能性があるので獣医師の診断を受ける必要がある。
とや(換羽)
羽の生え変わりのこと。「かんう(換羽)」を参照のこと。本来は「鳥屋」と表記し、鳥(特に鷹)を飼って入れておく小屋のことを指した。鷹は換羽期が晩夏に訪れ、この時期に鳥屋に入って餌を食べなくなる。これを「鳥屋入り」と称した。ここから換羽のことを「トヤ」と呼ぶようになった。現在でも鷹匠は鷹の年齢を「一とや、二とや」と数える。沈うつで物思いにふける様子を「とや心」などと表現する言葉もある。これは鷹が小屋に篭っておとなしくしている様子から転じたもの。
どりんくぼとる(ドリンクボトル)
給水器の一種。小動物や室内犬の給水に用いられる。出口に金属ボール弁をつけて、口をつけたときのみ水が流れ出る。汚物が混入しないので清潔であるが、十分注意して給水器であることを理解させなければならない。また弱いものは大型インコの破壊力には耐えられないのでよく検討する必要がある。
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なざし(菜挿し)
青菜を入れる容器。プラスチック製が多く、金具でケージの枠に取り付ける。水を少量入れた中に青菜を入れると長持ちするが、どちらにしても青菜は毎日取り替えなければならない。
なすかん(茄子環)
閉鎖金具の一種。また閉鎖金具の総称。狭義にはナスの縦断面の形状をした金具で、スプリングにより開閉を行うものを指す。その他の開閉金具として「鉄砲」(突起を押し下げることで閉じた輪の一部が開く形式のもの)や「レバースナップ」(ハサミやヤットコのように、レバーを操作すると口が左右に開く形式のもの)などがあり、これらも通称「ナスカン」と呼ばれることが多い。インコ類などの頭の良い鳥は、出入り口を自分で開けて外に出てしまうので、ナスカンで止めておくのが普通である。
なたね(菜種)
アブラナの種子で油脂原料となる飼料。非常に脂肪分が多いので、発情用その他特殊飼料として用いられる。常用するとさまざまな内臓疾患の原因になるので注意が必要である。
なみ(並)
一般での「駄もの」としての意味ではなく、飼鳥での「並」とは、通常その種の原種に近いものを指すことが多い。例えば種本来の色彩、グレーであるオカメインコを白色品種と比較して「並オカメ」などと称することなどである。またセキセイインコなどでも原種に近い色彩、サイズのものを「並」と呼んでいる。通常観念の「並=駄もの」のイメージがあるので、あまり使用したくない名称で、「ノーマル」と呼ぶことが望ましい。かつては「駄文鳥」などの名称もあったが、さすがに現在では使われていない。
なんしょくちょう(軟食鳥)
果実食、蜜食、雑食など、穀物主体の食性でない、柔らかい餌を主食とする鳥の総称。ヒインコ科の鳥や和鳥、九官鳥やオオハシなどがこれにあたる。便の水分が多く臭気があるため、穀物食の鳥種と比較して衛生的な世話がかかることが多い。
にがーしーど(ニガーシード)
非常にタンパク質の含有量が多い種子飼料。フィンチ類が好んで食べるが、これも与え過ぎは禁物で、育雛期などに親鳥に与えたりすることが多いものの、少量にとどめたい。
にっこうよく(日光浴)
鳥に日光を当てて健康増進を図る行為。日光は殺菌力があり、また体内でのビタミンD3の合成にも不可欠、ストレス解消にもなるなど、不可欠の行為である。しかし夏季の直射日光は熱射病の原因もなり、また冬季は寒風を受けて呼吸器疾患の誘因にもなる。また、モズ・カラス・ヘビ・猫などの外敵に襲われる危険もあるので、日陰の用意やケージを高い位置に吊るすなどの工夫が必要である。
にわこ(庭箱)
「にわばこ」とも言う。日本で伝統的に使用されてきた鳥カゴの一種。前面以外が木板で構成されているために内部は比較的暗く落ち着いているため、巣引きの際などによくもちいられるが、蒸れやすい欠点を持ち、ワクモなどの外部寄生虫の繁殖を招きやすいために、ケージ以上に衛生面で注意しなければならない。フィンチに利用されることが多い。これはインコ類が木部をカジって破損してしまうために不適なことによる。
にゅとりべりー(ニュトリベリー)
アメリカの飼料メーカー「ラフィーバー」社が製造販売しているもので、各種の皮むき種子類を「おこし」状態に固めたもの。他社からも同様の製品が発売されているが、今では一般名詞として使用される名称となっている。鳥種によって内容やサイズの異なるものが各種販売されており、嗜好性が高い飼料である。
ねくたー(ネクター)
ヒインコ科などの果食・蜜食鳥用の人工飼料。蔗糖の含有率がずばぬけて高く、非常に甘い。ラウディブッシュ社他各社から粉末状態のものが販売されている。日本では果食鳥にもヒマワリの種子だけ与えているような光景も目にするが、できるだけこうした専用飼料を与えるようにしたい。
ねぶらいざー(ネブライザー)
鳥医療用薬剤吸入器の一種。薬液を蒸気化して鳥を入れた密閉容器に導入し、鳥の呼吸によって薬効成分を呼吸器に吸収させる医療器具。エアゾール投薬法に用いられる。
のうこうしりょう(濃厚飼料)
脂肪分やタンパク質の含有量が通常よりも多い飼料。特に脂肪分の含有量が高い飼料を指す。麻の実、ヒマワリの種、エゴマ、ナタネ、カナリーシードなどがこれにあたる。大型インコの主食とされるが、大型でもこればかりでは濃厚すぎ、さまざまな内臓疾患の原因となる。ましてや小型の鳥では、これらの濃厚飼料の与え過ぎは禁物である。発情促進、冬季乗り切りなどのために少量与えるにとどめたい。
のーまる(ノーマル)
その種本来の色彩の羽毛を持つ品種。「並み(なみ)」を参照。
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はいごうしりょう(配合飼料)
各種のシード飼料が配合されている既製品の飼料。通常「小鳥の餌」としてはヒエ・アワ・キビ・カナリーシードの4種が配合されたものが市販されているが、季節や鳥種によって食性はさまざまなので、各自補強や取捨選択をする必要がある。ショップが独自に季節別にブレンドしている場合もある。ペレットなどの人工成形飼料のことではない。
ぱいど(パイド)
まだら、斑点のこと。飼鳥では羽毛に模様としてあらわれることを指す。薄地に濃色、濃地に淡色の斑点が出ることがあるが、この場合、両方ともパイドと称する。
はいぶりっど(ハイブリッド)
近似した異種の鳥の交配により生まれた混血個体。純粋種の保存を考えると本来は望ましいことではないが、希少種の場合に積極的に行われることもある。ほとんどの場合、ハイブリッドは繁殖力を持たない。コザクラインコとキエリクロボタンインコとのハイブリッドである「ヤエザクラインコ」などが代表例である。
ぱうだーふーど(パウダーフード)
粉状の飼料で湯などで溶き、主に育雛時に差し餌で用いる。各種の栄養素がバランス良く配合されているためにヒナの発育が良く、従来の差し餌飼料をしのぐほどに利用されている。ラウディブッシュ社の「フォーミュラー3」などが有名でパウダーフードの代名詞にさえなっている。育雛用以外では果食鳥用のネクターなどもある。
はきもどし(吐き戻し)
発情したオスがメスに餌をプレゼントして関心を買おうとする行為。そ嚢内に溜まっている餌を吐き出す。一羽飼いでも鏡や飼い主に対して行うこともある。この行為自体はそれほど問題はないが、吐き出した餌をまた食べることは不衛生なので、鏡を取り去ったり、気を紛らわせたほうが望ましい。飼鳥の場合、メスも行うことがある。
はつじょう(発情)
繁殖力を持つ成鳥が交尾し、産卵する態勢に入る状態。不必要な発情はさまざまな障害の原因となるので、巣引き時に計画的に発情させるように留意したい。
はつじょうしりょう(発情飼料)
巣引き時に、鳥の発情を促進するために特に与える飼料。フィンチには「あわたま(粟玉)」、文鳥には「らんまい(卵米)」など、卵黄を主とした動物性タンパク質を使用することが多い。雌雄ともに与えるが、オスに早めに与えた方が交尾が上手に行くと言われている。
はづくろい(羽繕い)
鳥がクチバシで自分の羽毛を整える行為。鳥にとって羽毛は飛翔・保温といった重要な働きをするため、常に羽繕いをして羽毛を整備し、脂分をまんべんなく塗着させている。また親密な関係にある鳥同士が行うこともある。人間に対して羽繕いを求める「掻いてのポーズ」を示す場合、その鳥は人間に対し特別な愛着を持っていることが分かる。毛づくろいとも言う。
ばーどとい(バードトイ)
鳥が遊ぶための遊具。ブランコや鏡など、さまざまなものが市販されている。特に1羽飼いなどでは退屈さが原因となる毛引き症などの悪癖を予防する効果がある。ただしケージ内にあまり多く設置すると運動不足になる場合もある。
ばなながたみずいれ(バナナ型水入れ)
自動給水器の一種。飲み口の上にバナナ状の透明プラスチックが直立している。汚れが入らず清潔である。
はねきり(羽切り)
手乗り鳥が逃亡したり激突等の事故に遭うことを防止するために風切羽を切除する行為。鳥の生活形態に重大な影響を与える行為なので、熟考してから実施したい。安易な羽切りは鳥にストレスを与えるだけである。ただし大型インコなどでは飛翔力が室内では強すぎ、また攻撃性を低下させるために行われることが多い。切るとして、さまざまな切除方法があるが、常に安全に考慮した方法で実施したい。クリッピングとも言う。
はばき(ハバキ)
フィンチ類などの脚部のウロコ状の部分が薄くはがれたもの。またははがれる前のもの。個体の老化現象の一種で、病気ではない。鳥の老化を知るには脚の状態の観察が重要である。
ぱーむ(パーム)
パーム椰子の繊維。巣材に用いられるために市販されている。
はんどふぃーでぃんぐ(ハンドフィーディング)
差し餌による人工育雛のこと。これによって手乗りとなった個体を「ハンドフェッドバード」と呼ぶ。
はんげつ(半月)
掛け餌入れの一種。上面が半月型をしている。
ひかえ(控え)
フィンチ類の足指(前3本後1本)「三前し足」の後1本「こうし(後し)」のこと。
ひとつばら(一腹)
母鳥を同じくする兄弟姉妹の鳥たちのこと。文鳥は気が荒いので一腹同士でケージに入れないと喧嘩をしてしまう。ただし一腹同士の近親交配は最も異常が生じ易いとされるので、成鳥になった時点で離さなければならない。
ひとりえ(一人餌)
差し餌でなく、自分自身で成鳥用の餌を摂食すること。また、摂食できるようになった状態のこと。差し餌を卒業し、一つの危険が去った状態と言える。人間にたとえて「離乳した」などとも言う。
ひなどや(雛換羽)
ヒナが生まれた段階では、ヒナの羽毛をしている。これは親鳥に守られるために防水性などが劣ったもので、なんとなく薄汚い色をしているが、一種の自然の保護色であるとも言われる。またヒナ毛は独特の臭気があり、これは親鳥のヒナ識別に役立つものと推測される。ヒナ毛は生後120日〜180日、大型インコでは1年程度ですべての羽毛が成鳥の羽毛に生え変わり、その鳥種本来の美しい色彩と輝きを得る。この成鳥羽毛への換羽をヒナドヤと呼ぶ。差し餌終了後ヒナドヤが完了するまでを「若鳥」と呼ぶ分類法もある。
びょうきんしゃ(病禽舎)
病気の鳥を収容する場所。禽舎に限らず、インキュベーター(保育器)、保温器具を設置したケージなども指す。病気は伝染しやすいため、病禽舎に隔離することは病鳥以外の鳥たちにとっても重要である。サイズの小さいものは「病禽籠」「隔離ケージ」などとも呼ぶ。
ひよこでんきゅう(ヒヨコ電球)
フィラメントでなく、内部に発熱ニクロム線を入れた発熱電球。発光しないために電力のほとんどを効率よく熱に転換させることができ、また鳥の安眠を妨げないので保温暖房器具として一般に用いられる。旭光電機工業製で、各種ワット数のものがある。かなりの高温となるため、通常は安全のために穴明き鉄缶の中に入れて「ペットヒーター」として使用される。
ふぉーみゅらー(フォーミュラー)
差し餌に用いるパウダーフードで、ラウディブッシュ社の製品。この名称が差し餌パウダーフードの代名詞となっている。ただしインコ類用の「フォーミュラー3」とフィンチなども使用する「オリジナルフォーミュラー」があり、これを混同してはいけない。
ふくじ(副餌)
主食に対する副食。おかずに相当する。防寒のための補助飼料やミネラルビタミン補給のために与える青菜・果物やボレー粉などの保健飼料、鉱物飼料等の総称。鳥の健康を維持するためにはバラエティー豊かな副餌を与えることが不可欠である。
ふご(孵籠)
「ふんご」、「おはち」とも言う。ワラ製の浅円筒形の底部と、中央に穴の空いた蓋部とによって構成される育雛用のヒナ収容容器。保温性に優れているので、文鳥などのフィンチの差し餌によく用いられる。
ふでげ(筆毛)
新しい羽が生えてくる時の、さやに包まれた羽軸の先に筆穂のような羽毛が見えている状態の羽。成長と共に先の羽毛が大きくなり、さやはフケのようにパラパラと落ちる。筆毛状態の生育期の羽は多量の血液が循環しているため、折損すると多量出血するで十分な注意が必要である。
ふーどぽんぷ(フードポンプ)
パウダーフードを湯で溶いたものを差し餌する際に便利なシリンジ式の道具。先端にゴム管をつけて、ヒナの口腔を傷めず、気道に餌を誤入させないように注意して与えなければならないので、少々のコツと熟練を要する。ゴム管ははずれて誤飲する可能性があるので、必ず30cm以上の物に付け替えること。スプーンで無理なく摂食するようならば、無理に使用する必要はない。
ぶりーだー(ブリーダー)
職業としての巣引き業者のこと。巣引きで得られたヒナ鳥を鳥獣問屋に卸して収入を得る。健康な地仔の増産には、国内でのブリーダーの健全育成が必要である。アマチュアでも、多くのヒナをとって頒布している人もブリーダーと呼ばれることもある。
ふんかき(糞掻き)
鉄製のヘラのような器具で、ケージ内にこびりついたフンを掻き落とすのに用いる道具。小鳥店で市販されている。こまめな清掃が病気予防の第一歩である。
ふんきりあみ(糞切り網)
単に「糞切り」とも呼ばれる。ケージの底の部分とケージ部分を仕切る底網。これによってフンが底に落ち、下に降りた鳥の足がフンに触れることなく衛生を保つことができる。欧米のケージではこれを用いず、底にシダーチップなどの底材を敷くことも多い。
ふんしょく(糞食)
自分の排泄したフンを食べること。ビタミン不足のときに見られる行動である。またフンを食べたり、ケージの外に放り出したりする行為は、巣を清潔に保とうとする繁殖期の行動であることも考えられる。
ぺっとひーたー(ペットヒーター)
一般的にはペット用の保温器具全体を指す言葉だが、飼鳥ではヒヨコ電球を内部に入れた穴明き鉄缶セットを指すことが多い。実績もあり、効果も高く、安心して使用できるが、乾燥するきらいがあるので、湿度の維持に注意しなければならない。また近くに可燃物を置くことによる火災の危険、鳥が接触することによる低温やけどに注意しなければならない。
ぺっとりん(ペットリン)
オウム病対策に日本愛玩動物協会が製造して会員(小鳥商)に頒布している飼料。粟玉に蜂蜜をかけ、抗生物質クロールテトラサイクリンを添加したもの。成鳥の健康時にオウム病対策として用いるのは有効だが、ヒナの差し餌に用いてはならない。
ぺれっと(ペレット)
人工成形飼料。鳥に必要な各栄養素がバランス良く混合され、固形に成形された飼料で、ほとんどがアメリカ製である。シード餌と比較して脂肪分が非常に少ないため、シード餌に慣れた鳥はあまり好まないが、フォーミュラーで差し餌で育った個体はスムーズに切り替わる。鳥の嗜好やストレス解消の観点などから批判的な考え方が多いのも事実。シード餌の脂肪過多も事実なので、両者とも賛否両論である。
ぼううしみん(膨羽嗜眠)
羽を膨らませ、昼間でも眠ってばかりいる状態。各種の病気の徴候を示していると判断される。
ほうちょう(放鳥)
捕らえていた鳥を解放する意味もあるが、飼鳥ではケージから出して自由に室内を飛ばせたり歩かせたり、遊んだりすることを指す。飼い主とのコミュニケーションをとる絶好の時間であり、手乗り鳥はたとえ短時間でも毎日放鳥するべきである。ただし、危険防止策を万全にしてから放鳥するのは当然である。
ほうていよんちょう(法定四鳥)
現在日本では自然保護の観点から野鳥の飼育を原則禁止しているが、特別に許可を受ければ飼養することが許されていた鳥種のこと。現在では都道府県によるが、1世帯につきホオジロとメジロ、いずれか1羽のみ使用が許可されることがある。かつてはマヒワ、ウソ、ホオジロ、メジロの4種であったので「法定四鳥」と称した。都道府県知事の飼養登録票、足環の装着が義務づけられている。これ以外の日本在来野鳥(いわゆる「わちょう(和鳥)」)と同種のものが市販されているが、これは外国から輸入された個体で、環境省の指導を受けて日本鳥獣商組合連合会が発行する許可書は添付されて販売されている。
ほてい(保定)
投薬や強制給餌などのために鳥体を固定する持ち方。小鳥の場合は人差し指と中指の間で鳥の肩部分をはさみ、親指と薬指で足の自由を束縛する。大型インコではタオルでくるむことが多い。いずれにしても鳥体の安全を第一に考えなければならない。
ぼれーこ(牡蠣粉)
カキ(貝類)の殻を焼いて砕いたもの。カルシウムや各種ミネラルの補給に不可欠であり、常時与えたいものである。自作できるが、一般に市販されている。無着色の白いものを買い、よく水洗いして日光乾燥してから用いると良い。「ぼれい」は「牡蛎(かき)」の音読み。
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まいなーふーど(マイナーフード)
九官鳥の飼料のこと。特に各種原料を混合成形した乾燥人工飼料を指すことが多い。各社から発売されており、湯でふやかしてから与える。雑食性の九官鳥の食性を考慮した擂り餌であり、魚粉などの動物性タンパク質を含んでいるので腐敗しやすいので注意が必要である。特に夏場は朝昼夜3回取り替えるようにしないといけない。撒き餌鳥にも保健飼料として週に2〜3粒与えることがある。この際も、食べこぼしの腐敗には十分注意しなければならない。
まきえ(撒き餌)
乾燥した穀物飼料のこと。粒餌。フィンチ、インコ類の主食である。小型の鳥にはアワ・ヒエ・キビ・カナリーシードの4種配合、中型鳥には少量の麻の実・サフラワー・ソバの実などを加え、大型鳥の主食としてはヒマワリの種子などがある。
まきえどり(撒き餌鳥)
撒き餌を主食とする食性の鳥。粒餌鳥、穀食鳥。手乗りとなる鳥のほとんどは撒き餌鳥である。
ますかご(桝籠)
主に差し餌段階のヒナを収容する、木製またはプラスチック製の四角い桝状の差しいずみ。底にワラやシダーチップなどを敷く。セキセイインコや文鳥のヒナに用いる。またこうした小型鳥の運搬にも用いる。各種サイズがあるので、運搬の場合には大型のものを用いたい。ますこ、運搬カゴなどとも呼ばれる。
ますたーべーしょん(マスターベーション)
性的自慰行為。性的成熟期に達した鳥が、季節・日照・栄養・ホルモンバランスなどの影響で発情し、飼い主の手や丸めた布などに対して交尾しようとしたりすること。自然の行為で異常ではないが、不必要な発情は気を荒立たせるので、背中をさすることや巣箱(その代用となるスキマ)、異性を想起させるようなオモチャなどを取り払うことで気を紛らわせるようにする。
みずあび(水浴び)
鳥が水入れなどに入ったりすることで羽毛の状態を清潔にする行為。ほとんどの鳥は水浴びを好む。小型の鳥には水盤に水を入れたものを用意すれば自分から入って水浴びをする。大型鳥には霧吹きやジョウロを用いてみずをかけてやることもある。大型インコには脂粉の沈積が原因の毛引きを防止する効果がある。羽毛の脂肪分を溶かさないように、湯を使わないようにすることが必要である。オーストラリアの乾燥地帯を原産地とするセキセイインコなどでは好まない個体もいるが、その場合でもいやがらない程度の水浴びはさせたい。
みずきりかご(水切り籠)
特に水浴びを好む九官鳥などにジョウロの水を掛けるときに鳥を収容する籠。底が網で、水が流れ出る構造になっている。最近の九官鳥用の籠は籠部と底部が分離できるので、籠部がそのまま水切り籠として使用できる。
みねらるぶろっく(ミネラルブロック)
ミネラル(無機質)を固めてブロック状にしたもの。広い意味ではハトに用いる「塩土」なども含まれるが、輸入品のカルシウムやヨードなどを主成分としたものを指すことが多い。種子餌を主食としている場合にはミネラル分が不足しがちなので、こうしたもので積極的な補給をすることが望ましい。
むきえ(剥き餌)
種子餌で穀粒の皮を剥いたもの。脱穀飼料。食べた量が明確で、皮が飛び散らないなどの利点もあるが、発芽力の無い「死に餌」で栄養価は皮付き餌より劣る。また水分が蒸発しやい一方で水がかかるとカビやすいなどの欠点も多く、あまり推奨できない。ただし育雛飼料・発情飼料などにはムキアワを利用して「粟玉」を作るのに使用される。
むせいらん(無精卵)
交尾して受精をした有精卵ではなく、受精せずにメスが排卵した卵。当然ヒナには成長しない。若いペアの初回産卵では無精卵になることも多い。発情飼料の不足でも無精卵が多くなる。
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やちょう(野鳥)
自然界で繁殖・生活している鳥類の総称。ただし飼鳥の世界では「わちょう(和鳥)」と同じ意味で用いられることが多い。野鳥の飼育は法律により原則として禁止されている。
やとみ(弥富)
愛知県西部、海部郡にある町。文鳥と金魚・錦鯉の養殖が盛んで、「弥富文鳥村」と通称される繁殖組合がある。こうした繁殖業は江戸時代中期より始められ、尾張藩の庇護の下で成長した。東南アジアからもたらされた文鳥を改良し、サクラ文鳥や白文鳥などはここで作出された品種である。愛知県は「日本のオランダ」と呼べるほど、こうした繁殖業が現在でも盛んであるが、今では後継者不足が悩みのようである。
やまとかご(大和籠)
江戸時代から使用された、文鳥など小型フィンチを収容する籠で、竹ひごを曲げてカーブを作り、また漆塗りをするなど美術工芸品的なものまである。夏目漱石の小品「文鳥」に登場する漆塗りの籠などがこれにあたる。現在では特殊な用途以外はほとんど使用されていない。
ゆうせいらん(有精卵)
受精した卵。親鳥の抱卵によって細胞分裂を繰り返し、やがてヒナとして卵から孵化する。オスメスのペアの健康状態や相性などが良好な場合に有精卵が得られるが、健康・栄養状態不良、脂肪過多、相性が悪い、オスが交尾に不慣れなどの場合は交尾していても「むせいらん(無精卵)」であることも多い。
ゆるむ(緩む)
鳥が体温を保つために羽毛を膨らませた状態の通称。通常では密着している羽毛を膨らませて空気を貯め、これを暖めることで保温力の向上を図っている。見た目が「膨らんだ毛玉」のようになる。寒い時期に見られるが、たいていの場合は病気の初期症状であると考えられる。「ぼううしみん(膨羽嗜眠)」の状態。
ようちょう(洋鳥)
日本原産の「わちょう(和鳥)」に対して、輸入された鳥の総称。原産地は東南アジア・オーストラリア・アフリカ・中南米とさまざまであるが、それらすべてを「洋鳥」と言うのは明治時代の輸入商が西洋人であったためである。原則として和鳥の飼養が禁止されている現在、ほとんどの飼鳥は洋鳥である。
ようちょう(幼鳥)
幼い鳥のこと。一般的には一人餌を摂食できるようになった巣立ち時期以降、成鳥の羽根への換羽が完了するまでの時期を指すことが多い。「中ビナ」「若鳥」との差は言葉を使用する人、店舗によって異なる。その期間は鳥種によってさまざまであるが、生後半年までぐらいが多い。
ら行 |
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らくちょう(落鳥)
鳥が死ぬこと。単に「落ちる」とも言う。止まり木から転落したり、止まれなくなった状態を指す言葉ではない。「死ぬ」という直截的な言葉を嫌った表現。江戸時代から用いられている。
らんじ(卵餌)
差し餌や発情飼料として用いられる卵黄をまぶした穀物飼料の総称。カロリー・タンパク質が高いため、通常に漫然と与えることは鳥の健康上好ましくない。「たまごえ」とも読む。
らんまい(卵米)
文鳥の発情飼料として用いられる卵餌。文鳥は米を好むので、粟玉よりも卵米を用いることが望ましい。ただし卵米は既成品が市販されていないので、飼養者が作らねばならず、やむを得ず粟玉で代用することも多い。
りんぐ(リング)
足環のこと。またはメジロやボタンインコのように目の周りの羽毛が体色と異なる鳥種の、その羽毛「アイリング」のことを指すこともある。
るちのー(ルチノー)
全身が黄色の羽毛で包まれた品種。
ろうちょう(老鳥)
歳をとった鳥。鳥種によってさまざまで、目的によって使い分けられるために、明確な基準は難しいが、その鳥種の平均寿命の半分の年齢に達した場合は老鳥と考えた方が無難である。その時期以降は身体的な障害や病気に感染する率が高まるため、獣医師による定期的な健康診断を積極的に受診させることが必要で、また巣引きはさせない方が望ましい。老鳥の見分けは鳥種によるが、たいていは脚部のウロコのツヤがなくなり、ガサガサと角化することで判断される。
わかどり(若鳥)
年齢が若い鳥。単に「若」とも言う。広義には成鳥となってから老鳥になるまでの期間を指すが、通常は成鳥となってから1年程度の期間を言う。また、一人餌に切り替わってからヒナ換羽を終えて成鳥になるまでを指す場合もある。このあたりは非常にあいまいである。好奇心が強く、オモチャなどを好み、また物まね鳥の場合は積極的に学習する時期である。
わくも(鶏、虫偏に卑)
鳥に寄生して吸血するダニ。鳥刺しダニ。昼間は止まり木の空洞部などに潜み、夜間活動するために、夜間急に鳥が騒ぐときは、わくもに吸血されていることも多い。ヒナの場合は吸血量によっては生命が危険な場合もある。止まり木には木質が緻密なものを選ぶ、定期的にケージを熱湯消毒するなどで発生を予防し、発生した場合は除虫菊を主成分とした殺虫剤を用いて殺滅する。
わちょう(和鳥)
日本原産の鳥。ホオジロ・メジロの2種以外の飼養は法律により禁止されている。これら2種でも飼養には都道府県知事の登録と足環が必要であり、また食性が雑食性ですり餌を必要とするために一般的に手乗り鳥には向かない鳥種である。海外から輸入される日本原産鳥と同種の野鳥は「日本鳥獣商組合連合会」(日獣連)の証明書があれば輸入・飼養でき、ヤマガラなどは比較的多く輸入される。ヤマガラは人間に馴れ、「おみくじ引き」などの芸をするために好んで飼養する人もいる。これはいわゆる「和鳥」の中では例外的なコンパニオンバードである。
わらじ(草鞋)
藁で編んだ産座。愛知県などで用いられることが多い。巣箱の中に敷くことで、保温と卵の安定に役立たせる。中部地方以外ではあまり見かけないが便利なものである。